私達の恋は海に流れ着いた。
私は『当たり前』が好きだったはずなのに嫌いになった。




大切なものがみえても、大切な人の声はきこえないから。



「あの、さ…」



「え……」
「……った?」
「…い…」



よくきこえない。私は遠くで聴くことなんて出来るはずないのに、聴くことしか出来ない。



みんなの声は、きこえない。



私の声はみんなに届いてるのかな。



届いているはずが、ない。



声を上げて、喋ることも、話すことも怖くなってしまった。



人と接することが怖くなった。




みえているのに、きこえない。



みんなは、みえているはずなのにきこえていないフリ。




私の声はまた、掻き消されてしまった。
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