私達の恋は海に流れ着いた。
彼の顔は、とても端正な顔立ちをしていた。
まつ毛が長く、髪は窓から差し込んでいる光のおかげで黒髪は輝いていて、瞳は宝石のような青い目をして、じっとこちらを見つめている。
まるで、何かの舞台に立っている王子様みたいな人だった。



「…好きにすれば」
「!…ありがとう!」


結局は面倒くさくなり、適当にあしらってしまえばもう話しかけてこないだろうと思った。
今の私を受け入れてくれる人は誰一人としていないから。



「俺、桐谷遥。もう一度自己紹介しとくね」
「…よろしく」



流石に無視はよくないと思い、適当に言葉を発する。



透。名前の通りこの青い宝石、いやダイヤモンドみたいな瞳はなんでも見透かしそうな気がする。体も、心も。




「そんなわけで、水瀬さん!俺と今日一緒に帰ってください!」




…前言撤回。ほんとうに私の事を見透かしているなら私が否定をすることなど分かるだろう。



「帰るわけないでしょ」



冷たく言い、私は前を向いて授業の準備を始めた。
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