熱情を秘めた心臓外科医は 引き裂かれた許嫁を激愛で取り戻す
話が絶妙にかみ合っていない。いちいち理人のやることへの齟齬を真っ向から追及したらキリがないのかもしれない。
うろたえている間にも、理人が架純の額に唇を寄せてきた。それから流れるような仕草で頬にキスをする。
額の次は頬に……あの日よりもさらに進化していた。しかし理人にからわれないようにこれは挨拶なのだと架純は思い込むようにした。
でも頬へのキスが耳朶へと移ったときには声を我慢することができなくなっていた。
「んっ……っ」
耳朶から首筋へ。そんな理人にされるがままになっていると、理人の句碑ビルが耳の側にいったん戻ってきて、囁くように誘ってきた。
「……可愛い声を聴かせてくれるのも嬉しいけど、妻の君からもしてくれないと」
その声音はぞくぞくするほど艶っぽくて甘い。架純はもうそれだけで何かの軟体動物かのように腰が抜け、ふにゃりと蕩けてしまいそうだった。
「ほら……君の方からもして」
「ど、どうしてっ」
「かわいい君に求められるのは、俺が嬉しいから」
理人はわかってやっている。架純が理人に求められることを望んでいるのを知っているに違いない。
「架純……」
(だめっ……もうそれ以上、囁かないで!)
怒涛の溺愛攻撃に、今度は本当に泣きそうになってしまった。仮初の契約妻にこんなことをするなんて聞いていない。
でも理人は引き下がる気はないらしい。もうとっくに架純は彼の築いた疑似世界の中に引きずり込まれてしまっていたのだ。抵抗するのは無駄だと思った。
架純はおずおずと彼の顔を見つめたあと、彼をもうそれ以上直視しないように思いきって目をつむって彼の頬にキスをした。
ほんの一瞬、軽く触れただけ。それでも少なくとも勇気は一年分込めたと思っている。
離れてからすぐ火を噴いたように顔が熱くなっている自覚があった。きっと理人から見た架純の顔は真っ赤にゆで上がっていることだろう。
ふっと理人が笑みをこぼす。
「本当に、俺の妻はかわいい。かわいくて……かわいすぎて……困るな」
普段の医師である理人のクールな感じとはまた全然違う、砂糖をたっぷり込めるような甘い声でそんなことをいうものだから、架純は本当にくらくらとのぼせて倒れ込んでしまった。
「っと、架純?」
うろたえている間にも、理人が架純の額に唇を寄せてきた。それから流れるような仕草で頬にキスをする。
額の次は頬に……あの日よりもさらに進化していた。しかし理人にからわれないようにこれは挨拶なのだと架純は思い込むようにした。
でも頬へのキスが耳朶へと移ったときには声を我慢することができなくなっていた。
「んっ……っ」
耳朶から首筋へ。そんな理人にされるがままになっていると、理人の句碑ビルが耳の側にいったん戻ってきて、囁くように誘ってきた。
「……可愛い声を聴かせてくれるのも嬉しいけど、妻の君からもしてくれないと」
その声音はぞくぞくするほど艶っぽくて甘い。架純はもうそれだけで何かの軟体動物かのように腰が抜け、ふにゃりと蕩けてしまいそうだった。
「ほら……君の方からもして」
「ど、どうしてっ」
「かわいい君に求められるのは、俺が嬉しいから」
理人はわかってやっている。架純が理人に求められることを望んでいるのを知っているに違いない。
「架純……」
(だめっ……もうそれ以上、囁かないで!)
怒涛の溺愛攻撃に、今度は本当に泣きそうになってしまった。仮初の契約妻にこんなことをするなんて聞いていない。
でも理人は引き下がる気はないらしい。もうとっくに架純は彼の築いた疑似世界の中に引きずり込まれてしまっていたのだ。抵抗するのは無駄だと思った。
架純はおずおずと彼の顔を見つめたあと、彼をもうそれ以上直視しないように思いきって目をつむって彼の頬にキスをした。
ほんの一瞬、軽く触れただけ。それでも少なくとも勇気は一年分込めたと思っている。
離れてからすぐ火を噴いたように顔が熱くなっている自覚があった。きっと理人から見た架純の顔は真っ赤にゆで上がっていることだろう。
ふっと理人が笑みをこぼす。
「本当に、俺の妻はかわいい。かわいくて……かわいすぎて……困るな」
普段の医師である理人のクールな感じとはまた全然違う、砂糖をたっぷり込めるような甘い声でそんなことをいうものだから、架純は本当にくらくらとのぼせて倒れ込んでしまった。
「っと、架純?」