優しすぎる同期にかわいい罠をしかけられました

週末の予定

「あ、いや……もう帰ろうかなって、思ってたところ」
「名前、呼んでくれたのは……?」
「え……あ!こ、これ!お菓子、嬉しかったからありがとうって思って!」

 そう言って、机の上にあったチョコ菓子をあわてて手に取り誤魔化すように笑う。
 まだ食べてなくて良かったと、心底思った。

 「そっか……」

 下平くんはどこかつまらなさそうにそう呟き、隣の席から椅子を引っ張って来て腰掛ける。

 「本当はもっといいお菓子とかあげたいんだけど」
 
 「え?十分、嬉しいよ?いつも気遣ってくれて……」

 素直な気持ちを伝えても、下平くんはやっぱりどこかつまらなさそうだ。
 
 「入社して全然使えなくて怒られてばっかりだった俺のこと、木島さんがいつも気遣ってくれて嬉しかったから」
 「私はいまだに怒られてばっかりで……」
 「木島さんが優しくて怒られてくれるから、機嫌悪いとすぐ怒るんだよ。丁寧な仕事してるのに」

 優しいフォローの言葉に胸がキュンとなる。
 ちゃんと見ていてくれている人がいるというのは、嬉しくて心強い。
 怒られて落ち込んでいた気持ちがぱっと晴れていくから、下平くんの癒しパワーは偉大だ。
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