優しすぎる同期にかわいい罠をしかけられました

そばにいてほしいひと

 距離の近さに急に異性として意識させられて、気を紛らわせるように私はシズをひたすらに撫でていた。
 そんな私の気持ちを知ってか知らずか、下平くんはじっと見つめてくるから心臓に悪い。

「……どうかした?」

 ここは率直に向けられている視線について問いかけてみると、下平くんは嬉しそうに微笑んで口を開いた。

「部屋に木島さんがいるのも、シズかわいがってくれてるのも、なんか嬉しくて」
「……そ、そう?あ、シズちゃんの写真撮ってもいい?」

 あまりにも嬉しそうに下平くんはこちらが照れてしまうことを言うから、私は話を誤魔化そうとする。

「また、シズがいるとき会いに来てくれる?」
「……うん。また会いたい」
「シズがいないときは?」
「え……」
「俺は掃除とか洗濯したり買い物してても、ごはん食べてるときも……木島さんと一緒だったらいいのになっていつも思うくらいには、木島さんのことが……大好きで」

 ああ、私も同じことをよく思っていた。
 日々の暮らしに、私の隣に——ふとした瞬間、下平くんがそばにいてくれたらいいのにと。
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