第三幕、御三家の矜持
そんな御条講堂の真ん中に着席し、記念すべき“第百回生徒会役員選挙”の横断幕が掲げられた壇上を見つめる。壇上にはいくつか椅子が用意してあって、そこに立候補者と応援演説者が着席することが分かる。実際、時間になると、二十数人が出てきて座った。ただ、松隆くんはおろか、鹿島くんの姿すらない……。代わりにふーちゃんの顔はある。
「第百回生徒会役員選挙、役員長の部」
その疑問は司会のお陰で解消される。そっか、生徒会の指定役員は大きく二つに分かれるのか。役員長という名前からして、生徒会長だとか書記だとかを除いた委員会のトップだけを先に決めるんだろう。
「図書役員長立候補者、薄野芙弓。応援演説者、溝口清香」
立ち上がったのはふーちゃんではなく、知らない女子──多分溝口さん──のほうだった。応援演説者が先に演説するらしい。溝口さんはふーちゃんの読書量とか豆知識的なことをよく知っていることなどを推した。確かに漫画を沢山読むふーちゃんなら謎にいろんなことを知っていてもおかしくない。
「図書役員長立候補者、薄野芙弓」
そして立候補者として壇上に立ったふーちゃん。ライトの降り注ぐ人前に立つと余計に美少女なのが分かる。
「私、薄野芙弓は図書役員長に立候補します。公約はただ一つ、蔵書の一層の充実──特に漫画とラノベです」
……が、やはり中身はぶれない。美少女の口からは「そもそも漫画とラノベというのは低俗な文化として非難されがち。でも本当にそうですか? 文学のほうが偉いんですか? 偉い人が書いたから? 数百万部を突破するベストセラー漫画家も偉いんじゃないでしょうか? 巧みな言葉の言い回しに溢れてるから? 独自性ならラノベにもたくさん溢れてます」なんて流れてくる。
「道徳の教科書を読んで道徳の心って身に付きますか? あんな狙ったストーリーで感情移入なんてしますか? 例えばこちらのラノベ、一話完結型ですが各話号泣必至と話題になるほどの傑作です」
演説は続く。文学とか、有名な賞を受賞した小説のこともふーちゃんはそれなりに褒めた。悪いとは言ってないといわんばかりに。ただそれ以上にラノベと漫画を推した。しかも漫画から学んだエピソード付き。本当にぶれない筋金入りのオタク美少女だ。
「第百回生徒会役員選挙、役員長の部」
その疑問は司会のお陰で解消される。そっか、生徒会の指定役員は大きく二つに分かれるのか。役員長という名前からして、生徒会長だとか書記だとかを除いた委員会のトップだけを先に決めるんだろう。
「図書役員長立候補者、薄野芙弓。応援演説者、溝口清香」
立ち上がったのはふーちゃんではなく、知らない女子──多分溝口さん──のほうだった。応援演説者が先に演説するらしい。溝口さんはふーちゃんの読書量とか豆知識的なことをよく知っていることなどを推した。確かに漫画を沢山読むふーちゃんなら謎にいろんなことを知っていてもおかしくない。
「図書役員長立候補者、薄野芙弓」
そして立候補者として壇上に立ったふーちゃん。ライトの降り注ぐ人前に立つと余計に美少女なのが分かる。
「私、薄野芙弓は図書役員長に立候補します。公約はただ一つ、蔵書の一層の充実──特に漫画とラノベです」
……が、やはり中身はぶれない。美少女の口からは「そもそも漫画とラノベというのは低俗な文化として非難されがち。でも本当にそうですか? 文学のほうが偉いんですか? 偉い人が書いたから? 数百万部を突破するベストセラー漫画家も偉いんじゃないでしょうか? 巧みな言葉の言い回しに溢れてるから? 独自性ならラノベにもたくさん溢れてます」なんて流れてくる。
「道徳の教科書を読んで道徳の心って身に付きますか? あんな狙ったストーリーで感情移入なんてしますか? 例えばこちらのラノベ、一話完結型ですが各話号泣必至と話題になるほどの傑作です」
演説は続く。文学とか、有名な賞を受賞した小説のこともふーちゃんはそれなりに褒めた。悪いとは言ってないといわんばかりに。ただそれ以上にラノベと漫画を推した。しかも漫画から学んだエピソード付き。本当にぶれない筋金入りのオタク美少女だ。