第三幕、御三家の矜持
「あー、いや、まだかな。多分。桜坂は返ってきたの?」
「うん、前回より少し上がってた」
「ま、受験勉強を理由に要らない科目の手を抜き始める人がいるしね」
「あんまり興味なさそうだね」
「まぁ。駿哉が二位にでもなったら多少興味は湧くかな」
はは、と笑って見せる松隆くん、結局それは自分の成績に関係ないと思うんだけど、それでいいのかな。
「月影くん、一位から落ちたことないんだっけ」
「ないね。二位のヤツ、少しは頑張ればいいのに」
「二位って誰なの?」
「さぁ、駿哉に聞いたことがあったような気はするけど……」
聞いたっていっても一年の頃の話だからなぁ、と松隆くんは首を捻る。四月の中間試験で私の成績を気にしてたくらいだ、月影くんのことだから二位の人を気にしていそうだけれど、二人には特に話していないのだろうか。もしくは、あの時は私が御三家の仲間候補だったから気にしていただけで、普段二位の人のことは歯牙にも掛けていないのか。
「ま、結局俺には関係ないんだけどね」
肩を竦めて返した松隆くんが興味を持っていなさすぎて忘れているだけなのか。
「あ、話は変わるけど、鳥澤くんから次のお誘いがありました」
「へぇ」
「怒らないでくださいよ! 私のせいじゃないですよ!」
一瞬で最下層まで声のトーンを落とした松隆くんの隣で慌てる。鳥澤くんのお誘いは「試験も終わったし、どこか出かけない?」なんてもので、返事は保留にしてある。
「どこで何のデートをしようって?」
「まだ未定です」
「しつこいよね、鳥澤も……。いい加減諦めればいいものを」
はぁ、と松隆くんは溜息を吐く。松隆くんのポジションがよく分からないのでそれには何とも言えなかった。
「まぁ、断るに越したことはないよね」
「あ、断らない選択肢も?」
「桜坂に手を出したらどうなるかはいい加減分からないはずないと思うんだよね。藤木の件だって表立って噂になってないだけで、桜坂に関係してるんじゃないかってことは大体の人は思ってるんじゃない。藤木が遼を好きだったって結構みんな知ってるらしいし」
確かにその通りだ。最終的には松隆くんがトドメを刺してるし。
「うん、前回より少し上がってた」
「ま、受験勉強を理由に要らない科目の手を抜き始める人がいるしね」
「あんまり興味なさそうだね」
「まぁ。駿哉が二位にでもなったら多少興味は湧くかな」
はは、と笑って見せる松隆くん、結局それは自分の成績に関係ないと思うんだけど、それでいいのかな。
「月影くん、一位から落ちたことないんだっけ」
「ないね。二位のヤツ、少しは頑張ればいいのに」
「二位って誰なの?」
「さぁ、駿哉に聞いたことがあったような気はするけど……」
聞いたっていっても一年の頃の話だからなぁ、と松隆くんは首を捻る。四月の中間試験で私の成績を気にしてたくらいだ、月影くんのことだから二位の人を気にしていそうだけれど、二人には特に話していないのだろうか。もしくは、あの時は私が御三家の仲間候補だったから気にしていただけで、普段二位の人のことは歯牙にも掛けていないのか。
「ま、結局俺には関係ないんだけどね」
肩を竦めて返した松隆くんが興味を持っていなさすぎて忘れているだけなのか。
「あ、話は変わるけど、鳥澤くんから次のお誘いがありました」
「へぇ」
「怒らないでくださいよ! 私のせいじゃないですよ!」
一瞬で最下層まで声のトーンを落とした松隆くんの隣で慌てる。鳥澤くんのお誘いは「試験も終わったし、どこか出かけない?」なんてもので、返事は保留にしてある。
「どこで何のデートをしようって?」
「まだ未定です」
「しつこいよね、鳥澤も……。いい加減諦めればいいものを」
はぁ、と松隆くんは溜息を吐く。松隆くんのポジションがよく分からないのでそれには何とも言えなかった。
「まぁ、断るに越したことはないよね」
「あ、断らない選択肢も?」
「桜坂に手を出したらどうなるかはいい加減分からないはずないと思うんだよね。藤木の件だって表立って噂になってないだけで、桜坂に関係してるんじゃないかってことは大体の人は思ってるんじゃない。藤木が遼を好きだったって結構みんな知ってるらしいし」
確かにその通りだ。最終的には松隆くんがトドメを刺してるし。