第三幕、御三家の矜持
返事が短く、あまり驚いた様子もなかったのは、やっぱり雅の事件のときに気付いてしまったからだろう。その時の推理が確証に変わった程度なんだろうな、と月影くんの頭の回転の速さに感心する。
「その、不倫相手にあたる私のお母さんね、お父さんとは大学の同級生だったんだけど。松隆くんのお父さんとも知り合いらしくて」
「……偶然だと何かおかしいのか」
「……おかしくは、ない、のかな……。世間は狭いよねで終わっていい話とも思えるんだけど……」
気になってしまうのは、鹿島くんに指摘されたからだろうか。鹿島くんが言うから、何かあるんじゃないかと勘繰ってしまうのだろうか。
「……考え過ぎじゃないのか。そこが学生時代に仲の良かった三人だったというだけの話だろう」
「そうかもしれないけど……。因みに月影くんのお父さんは? 松隆くんのお父さんと同級生なの?」
「高校の同級生だな。大学は別だ」
「……桐椰くんは、」
「遼の両親と俺達の両親とは、俺達ありきの知り合いだな」
「……そう」
じゃあやっぱり勘違いなのかな。それとも、桐椰くんだけが関係ないのかな。
思い悩む私に月影くんが口を開こうとしたとき、扉が開いて桐椰くんが入ってくる。私が顔を上げてもこちらを向くことはなく「駿哉シャワー浴びねーの?」「いや、もう浴びた」「あぁなんだ、はえーな」と短い遣り取りだけして、カバンを置くとすぐにいなくなってしまった。シャワーを浴びるらしい。
「……ねぇ月影くん」
「あぁ、今日は遼が送ると言っていたな」
「じゃあ俺は帰る、とでも続きそうなその雰囲気やめてくれません?」
「その通りだが何の文句がある」
「一緒に帰ろう?」
「断る」
「どうしてそこまで私に冷たくできるの?」
「俺が君と一緒に帰る義務はないところを断っているだけだろう。何がそんなに冷たいんだ」
「もうその言い方からして冷たい!」
全く構うことなく帰ろうとする月影くんのカバンを力強く掴むと絶対零度の目が見下ろしてきた。本気で私のことを鬱陶しいと思っている目だ。
「ねぇツッキー……」
「総と何か話したか?」
「……さっきの同級生の話は鹿島くんから聞いたんだよ」
急に話が変わったので一瞬首を傾げるも、心当たりはあったのでそれを口にする。
「……それならいい」
「その、不倫相手にあたる私のお母さんね、お父さんとは大学の同級生だったんだけど。松隆くんのお父さんとも知り合いらしくて」
「……偶然だと何かおかしいのか」
「……おかしくは、ない、のかな……。世間は狭いよねで終わっていい話とも思えるんだけど……」
気になってしまうのは、鹿島くんに指摘されたからだろうか。鹿島くんが言うから、何かあるんじゃないかと勘繰ってしまうのだろうか。
「……考え過ぎじゃないのか。そこが学生時代に仲の良かった三人だったというだけの話だろう」
「そうかもしれないけど……。因みに月影くんのお父さんは? 松隆くんのお父さんと同級生なの?」
「高校の同級生だな。大学は別だ」
「……桐椰くんは、」
「遼の両親と俺達の両親とは、俺達ありきの知り合いだな」
「……そう」
じゃあやっぱり勘違いなのかな。それとも、桐椰くんだけが関係ないのかな。
思い悩む私に月影くんが口を開こうとしたとき、扉が開いて桐椰くんが入ってくる。私が顔を上げてもこちらを向くことはなく「駿哉シャワー浴びねーの?」「いや、もう浴びた」「あぁなんだ、はえーな」と短い遣り取りだけして、カバンを置くとすぐにいなくなってしまった。シャワーを浴びるらしい。
「……ねぇ月影くん」
「あぁ、今日は遼が送ると言っていたな」
「じゃあ俺は帰る、とでも続きそうなその雰囲気やめてくれません?」
「その通りだが何の文句がある」
「一緒に帰ろう?」
「断る」
「どうしてそこまで私に冷たくできるの?」
「俺が君と一緒に帰る義務はないところを断っているだけだろう。何がそんなに冷たいんだ」
「もうその言い方からして冷たい!」
全く構うことなく帰ろうとする月影くんのカバンを力強く掴むと絶対零度の目が見下ろしてきた。本気で私のことを鬱陶しいと思っている目だ。
「ねぇツッキー……」
「総と何か話したか?」
「……さっきの同級生の話は鹿島くんから聞いたんだよ」
急に話が変わったので一瞬首を傾げるも、心当たりはあったのでそれを口にする。
「……それならいい」