第三幕、御三家の矜持
 騎馬戦は、一応トーナメント制だ。一回戦はランダムに組み合わせた二つの組同士が戦い、昨年度優勝組がシード枠。二回戦は一回戦で勝った一方とシード組が戦う。三回戦は一回戦敗退組同士による五位決定戦、つまりシード組はベスト3以上が確約されているというわけだ。最後はもちろん、運良くシード組と当たらなかった組と、シードにまで勝利した強力な組との決勝戦。

 各戦闘では全騎馬が一斉に戦い、制限時間内の残機の数で勝敗が決まる。引き分けた場合には各学年の代表が一年生から順に三将、副将、大将とされる団体戦になる。三将から順に一騎打ちをし、大将首をとった組の勝利。騎馬戦は団体戦がなんだかんだ一番盛り上がるらしいので、団長の判断でわざと引き分けに持ち込む組もあるのだとか。

 因みに今回、生徒会の動きはない。体育祭は生徒会、御三家、一般生徒が入り混じりすぎているからだろうか。

 そして気になるトーナメント第一回戦は、赤組VS黄組と白組VS緑組。昨年度優勝組は青組らしく、赤組と黄組のうち勝利したほうは二回戦で青組と戦うことになる。

≪では、男子全体競技、騎馬戦を開始します。初戦、赤組VS黄組≫

 司会の進行と、ピーッ、という笛の音と共に騎馬が組まれる。最初は赤組と黄組なので、桐椰くんが騎馬の上に乗る。


「桐椰くんゴツイから重そう」

「いうほどでしょ、見た目はごつくないし。あーでも、あのムキムキ感見ると重そうだよね」

「小さい人が乗ればいいのに」

「小さい人は小さい人で騎馬を組んでるけど」


 ちらとふーちゃんが視線を向けた先には最近よく見る顔があった、鳥澤くんだ。どうやら鳥澤くんは左の馬らしい。やたらよく見かけてしまうのは偶然なのか、それとも存在を知ってしまったから元から目に入っていた人物を意識して認識してしまうのか……。


「桐椰くんはどう考えても強いだろうからねぇ。他の騎士候補を騎馬にすることになっても、騎士にしない手はないよ」


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