君と恋とエトセトラ
ひゅー、なんて古臭い煽りと一緒に口にされ、「なんで知ってんだ!?」と叫んでしまった。いや鎌をかけたにしては具体的過ぎるから知ってたんだろうし、リアクションに後悔はしてないけど……。
「有名な話だぞ? 代々頭が固い勉強しか取り柄のねークソつまんない玄武のトップ、今度は色ボケかよってな」
「すげーディスりだな」
「栄から聞いたんだ」
「栄? あぁ、白虎か」
栄祭というフルネームを思い出しながら頭にその顔を思い浮かべる。祭り好きの西高のトップに就任するためにつけられたような名前の持ち主で、現在白虎五十六代目。ムードメーカーで愛されキャラ、というよりいじられキャラ。
「ほらー、朱雀と白虎って仲わりーじゃん? この間南高に来てやり合ってたんだけど、その時に玄武の話になってさ。あ、実は俺と栄って親同士が仲良くて普通に友達なんだ」
「マジかよ。お前も西高入ればよかったじゃん」
「いや俺女装でトップに立つって決めてたから」
そんな大真面目な顔で断られても。
「で、玄武が氷の女王に告った話」
「あぁ、まぁ本当だけど。びっくりするわ、就任挨拶に来たと思ったら氷洞に公開告白だぞ」
「一目惚れだって?」
「あぁ、まぁ一目惚れかな? 公開告白の後につぶさに語ったぜ」
玄武の告白内容となんて、思い返すだけでも妙な気分になる。
『凛としたその顔を好きになりました』
『学年五位という聡明さも好きです』
『何より、最後に目を合わせて優しく挨拶してくれて嬉しかった。惚れました』
あのときの台詞だけを箇条書きよろしく教えると、美岳は「うげ」とわざとらしく顔を歪めて舌を出す。
「なんだそりゃ。女口説いたことねーだろ、童貞かよ」
「学年五位という聡明さ、ってキモイよな」
「キモイな。俺だったらそれ聞いた瞬間百パー無理だわ。つか究極、目見て挨拶すりゃ誰でも好きになるんじゃね?」
「有り得るな」
「マジかよー、気をつけよ」
いや気を付けるって、心配しなくても玄武はお前に告白することないと思うぜ、とは言わずにおいた。
ふーん、と美岳は頭の後ろで腕を組んでベンチに凭れる。
「ま、あの氷の女王に告白する度胸はすげーよな、玄武」
「有名な話だぞ? 代々頭が固い勉強しか取り柄のねークソつまんない玄武のトップ、今度は色ボケかよってな」
「すげーディスりだな」
「栄から聞いたんだ」
「栄? あぁ、白虎か」
栄祭というフルネームを思い出しながら頭にその顔を思い浮かべる。祭り好きの西高のトップに就任するためにつけられたような名前の持ち主で、現在白虎五十六代目。ムードメーカーで愛されキャラ、というよりいじられキャラ。
「ほらー、朱雀と白虎って仲わりーじゃん? この間南高に来てやり合ってたんだけど、その時に玄武の話になってさ。あ、実は俺と栄って親同士が仲良くて普通に友達なんだ」
「マジかよ。お前も西高入ればよかったじゃん」
「いや俺女装でトップに立つって決めてたから」
そんな大真面目な顔で断られても。
「で、玄武が氷の女王に告った話」
「あぁ、まぁ本当だけど。びっくりするわ、就任挨拶に来たと思ったら氷洞に公開告白だぞ」
「一目惚れだって?」
「あぁ、まぁ一目惚れかな? 公開告白の後につぶさに語ったぜ」
玄武の告白内容となんて、思い返すだけでも妙な気分になる。
『凛としたその顔を好きになりました』
『学年五位という聡明さも好きです』
『何より、最後に目を合わせて優しく挨拶してくれて嬉しかった。惚れました』
あのときの台詞だけを箇条書きよろしく教えると、美岳は「うげ」とわざとらしく顔を歪めて舌を出す。
「なんだそりゃ。女口説いたことねーだろ、童貞かよ」
「学年五位という聡明さ、ってキモイよな」
「キモイな。俺だったらそれ聞いた瞬間百パー無理だわ。つか究極、目見て挨拶すりゃ誰でも好きになるんじゃね?」
「有り得るな」
「マジかよー、気をつけよ」
いや気を付けるって、心配しなくても玄武はお前に告白することないと思うぜ、とは言わずにおいた。
ふーん、と美岳は頭の後ろで腕を組んでベンチに凭れる。
「ま、あの氷の女王に告白する度胸はすげーよな、玄武」