君と恋とエトセトラ
 現に雪との間で齟齬が生じている。白銀は「だからさぁ、あのぱちぱちの睫毛とか、きらきらの目とか!」と語彙(ごい)も貧弱に説明した。


「あぁー……まぁ、上目遣いと涙目は一般にいいって言うな」

「だろ?」


 しかもそれで通じている。さすが雪、伊達に白銀の相棒ポジションに収まっていない。


「でもそういうのは可愛い顔がやってなんぼだしな」

「え、可愛かっただろ? 多分一年で一番くらい可愛いんじゃね?」


 雪の予想外の返答に白銀が目を丸くする。その点については私も白銀と同意見だ。が、雪は「ははは、まさか」と渇いた笑いで答える。


「俺、頭悪そうな顔、嫌いなんだよな」


 その返答には、私も白銀も何も言えなかった。

 烏丸雪斗、真っ黒の苗字に真っ白な名前でアンバランス。少しは苗字とのバランスを考えて名付ければいいのにという雪のぼやき。確かに、その腹の色とのバランスも悪いようだ。

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