君と恋とエトセトラ
 パッと白銀の胸座から手を離した。ヘタレな白銀はみんなの前で見せることはなくても、私と対等に見えるのはセーフらしいので胸座を掴むのはセーフだ。果たして胸座を掴むことが対等関係といえるのかどうかは知らないが、白銀がいいというからいいということにしてしまおう。白銀はシャツを整える。


「……で、七十二代目は就任のご挨拶に来たわけだ」

「あぁ。初めまして、百一代目青龍、通称銀狼だったか? 龍なのか狼なのかはっきりしてほしいが、んなこたどーでもいい」


 そして、女装美人の美岳はその長い髪を手で払うとふわりと風に靡かせた。


「七十二代目朱雀、美岳澪平(りょうへい)。恋愛対象は女だ」


 別にそのご注意されなくても誰もがっかりしねーよ、と白銀の横顔は言っていたけれど、背後からは「マジかー!」とショックそうな声が二つ三つ聞こえた。途端に白銀の青ざめた顔が振り向いていた。


「今年もよろしく、百一代目!」


 そうして、お祭りよろしく乱闘騒ぎがスタートする。

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