君と恋とエトセトラ

「おばちゃん、こんちはー」

「何、アンタ今日は女なの」


 お店の扉の目の前にあるカウンター奥から出迎えてくれたのは中老のおばさんで、私達は好き勝手に「おばちゃん」「おばさん」とか「岩山おばさん」と呼んでいる。いつもムスッとして、ぶっきらぼうで愛想も悪いしだけど、馴染むといいおばさんだ。

 お店はおばさんとご主人の二人がやっていて、店内は小奇麗だけど外観が蔦に侵食されている。店が開いてるのか開いてないのか分からないとまでは言わないが、時代の流れに沿う気は欠片もないのが分かる。が、下手に小洒落た店だと私達も行きづらいので、四神連中には人気がある。

 岩山おばさんは私達がぞろぞろ入ってくるのを見ながら「アンタ初めてじゃないの」と不二を引き留めた。確かに、美岳の後輩だということは、まだ入学して二か月か。


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