君と恋とエトセトラ
 伝統と歴史を重んじる崇津市の四つの高校には、それぞれの伝統がある。例えば東高トップは実力派、例えば南高トップは女装美人。


「じゃあな青龍! また挨拶に来るぜ!」


 だから南高トップは顔に怪我をしたがらず、怪我しない程度に暴れて、疲弊する前に引き上げる。実力主義の青龍の敵ではないし、実際南高も半ば遊びに来ているようなものだ。だから早々に私達も引き上げ、白銀は大した怪我もせず、私と二人きりの教室のソファに寝転んで紅茶がはいるのを待っている。


「……氷洞」

「何、白銀」

「……確かに俺も悪かったと思うんだけど、やっぱり朱雀が代々美人過ぎるのが悪いんだと思──」

「うるさい死ね」

「ひょおぉどおぉ! 死ねは酷いよ! 俺傷付いちゃうから! 死ねはやめよう、な!」

白湯(さゆ)の刑に処す」

「つまりお湯なんだよね!? ごめんなさい氷洞の淹れてくれる紅茶が美味しいから紅茶を淹れてほしいな!」


 狼の皮を被ったリーダーは、今日も元気だ。


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