CRAZY LOVE
「来たな」
遠くからでも目を引く一台の高級車が滑り込んできた。
夜闇に浮かび上がる車の灯に照らされた光の先に。
ピリピリと肌を刺すような威圧感。
老若男女問わず、誰もが目を奪われてしまうほどの絶世の美貌を誇る一人の男の登場。
一瞬でこの場が支配され、異様な緊張感に包まれる。
周囲を圧倒するほどの存在感。
夜の静寂を掻き消す足音が辺り一帯に響き渡る中。
悪人面の奴等が揃いも揃ってその一挙一動に視線は釘付け。
それもそのはずだ。
どの角度から見ても欠点一つない完璧な顔面は、まるで彫刻のように整ってて美しく。
そんな人間を見たのは後にも先にもアイツただ一人だけ。
その美しい容姿とは裏腹に冷酷無残で敵味方関係なく一切容赦ないアイツの存在は、この世界では多くの人間に恐れられている。
誰もが皆、一人の男の外見に魅せられて、狂気にひれ伏す。
この裏社会で唯一無二の存在。
闇に咲く一輪の華――…。