CRAZY LOVE
「相変わらず派手な集団だな~」
気心の知れた男が運転する車内の後部座席に深く凭れ掛かりながら、紫煙を吐き出す。
圧倒的な数を誇る愚連隊が、深夜の街を切り裂くような猛烈な爆音を唸らせて走っているのを視界に捉える。
一際目を引く一台の高級車を取り囲むように、無数のバイクで走り抜ける光景は昔から何一つ変わらない。
いつ見ても見事な連携プレーで、街道を彩る数多の灯りは夜に映え、幻想的な煌めきで目が眩むほどの輝き。
危険と隣り合わせの街で唯一の自由。
限られた瞬間を、鮮やかに駆け抜ける狂気と殺気を身に纏う奴等が行き着く先は、幸か不幸か。
此処で生きてる人間に限れば、先行きが見えない不安を感じるモノなんてごく僅かであろう。
受け入れがたい非情な現実が目の前に立ち塞がったとしても、残酷で壮絶な現実を生きるしか道は残されていない。この街ではそれこそが存在意義を示す。