CRAZY LOVE


「ククッ、嫌味っすか?」


「あ?
なんだって?」


「だって負けじと、イヤそれ以上に派手な人がそれ言っちゃいます?
現役復帰した際には是非お側に置いて下さいね。ワタルさんの兵隊なら喜んで仕えますから」


「フッ、じゃあアイツの兵隊は引退か~。
そりゃオメデトサン」


「…っ…!
そ、そそんなワケないじゃないっすか!
兼任ですよ。け、ん、に、ん!
すみません、ワタルさん。
俺の一番は何があっても譲れないっす!
不動なんで!」




バックミラー越しに視線を寄越すタイチは無邪気な笑顔で生意気な口を利く。



アイツの前では決して見せることない姿には、怒りを通り越して呆れ返る。




「タイチ……
オマエ最近、生意気に拍車がかかってね?
可愛くねぇ後輩だな、おい」


「いやいや、そんなことないですよ。俺は昔も今も変わらずチャーミングですっ!
こんな愛嬌たっぷりの従者はこの街では貴重ですよ」




ふんぞり返って自画自賛しながら、褒めてくれと言わんばかりに信号待ちのタイミングで運転席から身を乗り出して振り返る。




「……凄ぇな、オマエ。ボジティブすぎんだろう。ここまでくればもはや尊敬の域だぜ」


「お褒めの言葉、恐れ入ります!」


「……イヤ別に褒めてねぇけどな」



自他共に認めるタイチは盲目的なまでにアイツを崇拝していて、アイツのことになると誰にどう思われようがお構いなく、いつも以上に饒舌なまでに語り尽くすほどで。その行動や言動は最早狂気の域に達している。





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