本当の姿は俺の前だけな
第10話 撮影現場へのお誘い
○学校・屋上(昼休み)
鬼龍院司「俺様とした事が順番を無視してはダメだな。キスの前に俺様をもっと知ってもらわないとな」
川崎莉奈(キス…か。まだ心の準備が出来てないよ)
(それ以前に順番って…)
司とのキスを妄想する莉奈。
顔が真っ赤に染まり鼓動は激しいリズムを刻んだ。
川崎莉奈「ほ、他にも何かあるんですか?」
妄想を打ち消そうと莉奈は話を逸らした。
外側は冷静だが内面は羞恥心で溢れかえっていた。
鬼龍院司「あとはモデルをしてるぐらいだな」
川崎莉奈「モデルって雑誌とかのです?」
鬼龍院司「そう、流行のファッションとかを撮影しているんだ」
川崎莉奈「司先輩は何もかもがカッコイイですからねー」
普通の話題となり莉奈の顔は安心しきっていた。
モデルの撮影が気になり、司から詳しく聞こうとした。
川崎莉奈「私、モデルの撮影とか見た事ないんですよねー」
鬼龍院司「なら今度の撮影、一緒に行くか?」
司からの誘いに莉奈は戸惑い顔だった。
川崎莉奈(軽く言ってみただけなんだけど…)
(せっかくだから行ってみようかな)
川崎莉奈「うん、ぜひお願いします」
爽やかな顔で莉奈は司に頼んだ。
鬼龍院司「次の撮影日が決まったら連絡するぜ」
川崎莉奈「ありがとうございます、司先輩」
タイミングよく昼休みがちょうど終わる。
2人はいつものように各自のクラスへ戻っていった。
○川崎莉奈の家・部屋(夜)
川崎莉奈「何を着ていこうかなっ」
連絡が来てないのに、その日の莉奈のテンションは高かった。
鏡の前でひとりファッションショー。
床には服が沢山散らかっている。
川崎莉奈「んー、露出は控えた方がいいよねー。でも地味すぎても司先輩に悪いし…」
くるりと回り莉奈は全身を確認する。
川崎莉奈「やっぱりスカートだよね。でもこれって…なんだかデートの前みたい」
事実に気がつき莉奈の顔赤く染る。
頭の中に妄想した司とのキスが蘇った。
川崎莉奈「胸はそのままでいいよね。司先輩は胸で人を判断しないし…」
胸に手を当てる莉奈。
不安が一瞬だけ頭をよぎった。
川崎莉奈「よし、これに決めた。きっと司先輩も喜んでくれるはず」
青のニットで袖口から指先が出る萌え袖。
ベージュのスカートでバランスを取る。
靴は白のブーツで可愛らしさをアピールした。
川崎莉奈「これで完璧だねっ。あとは連絡が来るのを待つだけなんだけど──」
そう思った矢先にスマホが鳴った。
莉奈は緊張しながらスマホを手に取った。
川崎莉奈「誰からだろ…。って、司先輩から!?」
画面に映った名前に莉奈の顔がほんのり赤くなる。
緊張し震えた手で目を瞑りながらスマホを持った。
川崎莉奈「な、なんの用かな。こんな時間に…」
(怖くて画面が見れないよ)
(でも、せっかく送ってきたんだから見ないと…)
莉奈は勇気を振り絞りラインを開く。
瞑った目を開けラインの内容を見た。
川崎莉奈「えっと、モデルの撮影日は今週の日曜日、駅前に10時集合、か」
(思ったよりも早すぎるよ…)
(それにこれって…デートみたいだし)
嬉しさと恥ずかしさが入り交じる。
莉奈は困惑しながらも司に返信した。
川崎莉奈「えっと、わかりました、楽しみにしてます、っと」
(ハートとかつけた方がいいのかな)
入力した文字を何度も書き直す。
莉奈が入力し終えたのは数分後だった。
川崎莉奈「よし、やっぱり一番最初のがシンプルでいいよね」
満足した顔で莉奈は返信した。
川崎莉奈「…冷めた女って思われてないよね。司先輩、あの返事見てどう思ってるのかな」
心が落ち着かなくなる莉奈。
寝ようにも気になって眠れない。
目を瞑りながら眠れない一夜をすごした。
○駅前(朝)
待ち合わせ時間の20分前に莉奈は着いた。
川崎莉奈「うぅ…。家にいても落ち着かないし、髪型とか服装は大丈夫だよね…」
莉奈は手鏡で髪型をチェックする。
事前に選んだ洋服を着ている。
司が気にしないため、パッドは入れてこなかった。
服装に乱れがないか、念入りに見直した。
鬼龍院司「俺様より早く来てたんだな」
川崎莉奈「きゃっ!?」
司が背後から莉奈の耳元で囁く。
驚いた莉奈が声を上げた。
川崎莉奈「つ、司先輩、脅かさないでくださいよー」
鬼龍院司「それにしても──今日は初めて出会った時の髪型なんだね」
川崎莉奈「は、はい、撮影現場にお邪魔するので、できるだけオシャレしてみたんです。変…ですか?」
鬼龍院司「いや、いつも美しいが今日はさらに美しいな。ただ──」
莉奈の前に回り込んだ司。
顎クイで自分の顔を近づける。
莉奈との距離は僅か数センチだった。
川崎莉奈「つ、司先輩…。その、顔が近いですけど」
莉奈は真っ赤な顔で抵抗する。
肌に感じる吐息が心拍数を上げた。
鬼龍院司「今度から本当の姿は俺の前だけな。今日は特別だから許そう」
司は耳元で囁いた。
川崎莉奈「わ、分かりました」
(キスされるかと思ったよ…)
心臓を鷲掴みにされ莉奈の耳と顔は真っ赤。
頭の中は真っ白となった。
○電車の中(朝)
撮影現場まで2人は電車に乗る。
混んではいないが座席は全部埋まっている。
開閉ドアの端で莉奈を守るように司が立っていた。
川崎莉奈「司先輩、ちょっと近いような…」
鬼龍院司「恋人同士なんだし問題ないだろ。それに、莉奈の美しさを他の人に見せたくないんだ」
周囲を気にせず司は自分の心をさらけ出す。
莉奈は恥ずかしすぎて体を小さくした。
川崎莉奈「恋人同士なのはいいんだけど、ちょっと恥ずかしい…かな」
小声で自分の思いを伝える莉奈。
鼓動が小さくリズムを奏でる。
鬼龍院司「なら、ずっと俺だけを見てろ。他の人なんか見るなよ?」
川崎莉奈(それはそれで恥ずかしいんですけどー)
(でも…知らない人と視線が合うよりマシかな)
莉奈は強引な司の言う通りにする。
両手を司の胸に当て寄りかかる。
上目遣いで見続けた。
聞こえるのは電車が走る音のみ。
目的の駅に到着するまで2人は見つめ合ったまま。
電車は変わらず走り続けた。
鬼龍院司「俺様とした事が順番を無視してはダメだな。キスの前に俺様をもっと知ってもらわないとな」
川崎莉奈(キス…か。まだ心の準備が出来てないよ)
(それ以前に順番って…)
司とのキスを妄想する莉奈。
顔が真っ赤に染まり鼓動は激しいリズムを刻んだ。
川崎莉奈「ほ、他にも何かあるんですか?」
妄想を打ち消そうと莉奈は話を逸らした。
外側は冷静だが内面は羞恥心で溢れかえっていた。
鬼龍院司「あとはモデルをしてるぐらいだな」
川崎莉奈「モデルって雑誌とかのです?」
鬼龍院司「そう、流行のファッションとかを撮影しているんだ」
川崎莉奈「司先輩は何もかもがカッコイイですからねー」
普通の話題となり莉奈の顔は安心しきっていた。
モデルの撮影が気になり、司から詳しく聞こうとした。
川崎莉奈「私、モデルの撮影とか見た事ないんですよねー」
鬼龍院司「なら今度の撮影、一緒に行くか?」
司からの誘いに莉奈は戸惑い顔だった。
川崎莉奈(軽く言ってみただけなんだけど…)
(せっかくだから行ってみようかな)
川崎莉奈「うん、ぜひお願いします」
爽やかな顔で莉奈は司に頼んだ。
鬼龍院司「次の撮影日が決まったら連絡するぜ」
川崎莉奈「ありがとうございます、司先輩」
タイミングよく昼休みがちょうど終わる。
2人はいつものように各自のクラスへ戻っていった。
○川崎莉奈の家・部屋(夜)
川崎莉奈「何を着ていこうかなっ」
連絡が来てないのに、その日の莉奈のテンションは高かった。
鏡の前でひとりファッションショー。
床には服が沢山散らかっている。
川崎莉奈「んー、露出は控えた方がいいよねー。でも地味すぎても司先輩に悪いし…」
くるりと回り莉奈は全身を確認する。
川崎莉奈「やっぱりスカートだよね。でもこれって…なんだかデートの前みたい」
事実に気がつき莉奈の顔赤く染る。
頭の中に妄想した司とのキスが蘇った。
川崎莉奈「胸はそのままでいいよね。司先輩は胸で人を判断しないし…」
胸に手を当てる莉奈。
不安が一瞬だけ頭をよぎった。
川崎莉奈「よし、これに決めた。きっと司先輩も喜んでくれるはず」
青のニットで袖口から指先が出る萌え袖。
ベージュのスカートでバランスを取る。
靴は白のブーツで可愛らしさをアピールした。
川崎莉奈「これで完璧だねっ。あとは連絡が来るのを待つだけなんだけど──」
そう思った矢先にスマホが鳴った。
莉奈は緊張しながらスマホを手に取った。
川崎莉奈「誰からだろ…。って、司先輩から!?」
画面に映った名前に莉奈の顔がほんのり赤くなる。
緊張し震えた手で目を瞑りながらスマホを持った。
川崎莉奈「な、なんの用かな。こんな時間に…」
(怖くて画面が見れないよ)
(でも、せっかく送ってきたんだから見ないと…)
莉奈は勇気を振り絞りラインを開く。
瞑った目を開けラインの内容を見た。
川崎莉奈「えっと、モデルの撮影日は今週の日曜日、駅前に10時集合、か」
(思ったよりも早すぎるよ…)
(それにこれって…デートみたいだし)
嬉しさと恥ずかしさが入り交じる。
莉奈は困惑しながらも司に返信した。
川崎莉奈「えっと、わかりました、楽しみにしてます、っと」
(ハートとかつけた方がいいのかな)
入力した文字を何度も書き直す。
莉奈が入力し終えたのは数分後だった。
川崎莉奈「よし、やっぱり一番最初のがシンプルでいいよね」
満足した顔で莉奈は返信した。
川崎莉奈「…冷めた女って思われてないよね。司先輩、あの返事見てどう思ってるのかな」
心が落ち着かなくなる莉奈。
寝ようにも気になって眠れない。
目を瞑りながら眠れない一夜をすごした。
○駅前(朝)
待ち合わせ時間の20分前に莉奈は着いた。
川崎莉奈「うぅ…。家にいても落ち着かないし、髪型とか服装は大丈夫だよね…」
莉奈は手鏡で髪型をチェックする。
事前に選んだ洋服を着ている。
司が気にしないため、パッドは入れてこなかった。
服装に乱れがないか、念入りに見直した。
鬼龍院司「俺様より早く来てたんだな」
川崎莉奈「きゃっ!?」
司が背後から莉奈の耳元で囁く。
驚いた莉奈が声を上げた。
川崎莉奈「つ、司先輩、脅かさないでくださいよー」
鬼龍院司「それにしても──今日は初めて出会った時の髪型なんだね」
川崎莉奈「は、はい、撮影現場にお邪魔するので、できるだけオシャレしてみたんです。変…ですか?」
鬼龍院司「いや、いつも美しいが今日はさらに美しいな。ただ──」
莉奈の前に回り込んだ司。
顎クイで自分の顔を近づける。
莉奈との距離は僅か数センチだった。
川崎莉奈「つ、司先輩…。その、顔が近いですけど」
莉奈は真っ赤な顔で抵抗する。
肌に感じる吐息が心拍数を上げた。
鬼龍院司「今度から本当の姿は俺の前だけな。今日は特別だから許そう」
司は耳元で囁いた。
川崎莉奈「わ、分かりました」
(キスされるかと思ったよ…)
心臓を鷲掴みにされ莉奈の耳と顔は真っ赤。
頭の中は真っ白となった。
○電車の中(朝)
撮影現場まで2人は電車に乗る。
混んではいないが座席は全部埋まっている。
開閉ドアの端で莉奈を守るように司が立っていた。
川崎莉奈「司先輩、ちょっと近いような…」
鬼龍院司「恋人同士なんだし問題ないだろ。それに、莉奈の美しさを他の人に見せたくないんだ」
周囲を気にせず司は自分の心をさらけ出す。
莉奈は恥ずかしすぎて体を小さくした。
川崎莉奈「恋人同士なのはいいんだけど、ちょっと恥ずかしい…かな」
小声で自分の思いを伝える莉奈。
鼓動が小さくリズムを奏でる。
鬼龍院司「なら、ずっと俺だけを見てろ。他の人なんか見るなよ?」
川崎莉奈(それはそれで恥ずかしいんですけどー)
(でも…知らない人と視線が合うよりマシかな)
莉奈は強引な司の言う通りにする。
両手を司の胸に当て寄りかかる。
上目遣いで見続けた。
聞こえるのは電車が走る音のみ。
目的の駅に到着するまで2人は見つめ合ったまま。
電車は変わらず走り続けた。