第四幕、御三家の幕引
 そんなこんなで、ホテルから梅田駅まで御三家とふーちゃんと私という謎すぎるメンバーで歩く羽目になった。とっても気まずい……と物理的なポジションを模索する私の前ではふーちゃんと御三家が喋っている。


「ねー、大阪駅と梅田駅ってどう違うのー?」

「さぁ、JRかメトロかじゃねーの?」

「同じ駅じゃないんだよねー?」

「繋がってるけど、一応な。ここは大阪駅」


 駅のコンコースを歩きながら、辺りをきょろきょろと見回す。新大阪駅に着いたときと同じく、飛び交うのは関西弁ばかりだ。コンコースを抜けるとエスカレーターがあって、そこを下ると家電量販店の地下階に直結していて、もう少し歩くと御堂筋線の改札があった。

 ごちゃごちゃしてるのに桐椰くんが先頭に立って迷いなく歩いてくれるせいで心強い。彼方と来たって言っても数回だろうに、よくこんな複雑な道を歩けるものだ。


「すごいねー、桐椰くん、大阪詳しいんだねー」

「別にそこまでじゃねーよ。つかなんで今日海遊館なんだよ」


 俺達が行くの聞いて変更したんじゃねーだろうな、とでも聞こえてきそうだった。そうだよね、桐椰くん、私と一緒にいたくないよね。ごめんね。


「えー、だって深古都が他の日だと十時まで待たないといけなくて勿体ないって言うからー」

「明日以降の行き先は決まってるの?」

「ううん、まだだよー」

「俺達は明日が京都、明後日が伊勢神宮なんだけど、桜坂と薄野も来る?」


 話していたのはふーちゃんであるはずなのに、松隆くんは余所行きのにこやかな笑顔を張り付けて私も見た。

 お陰で、来るよね、にしか聞こえなかった。


「えー、いいの? 腹黒王子様がそういうこと言うなんて意外だなー」

「その呼び方、やめてもらえる?」

「松隆くんがそういってくれるならそうしようかなー。亜季はどうー?」


 どうにもこうにも、頷く以外できない空気だ。


「……行きます」

「ふふふー」


 御堂筋線のホームに並びながら、ふーちゃんの不敵な笑みの理由を今晩問いただすことに決めた。

 御堂筋線に揺られたのはほんの数分で、本町で中央線に乗り換えた。御堂筋線に乗ってる時間と中央線まで歩く時間とどっちが長かっただろう、と思ってしまうくらい暫く構内を歩き、コスモスクエア行に乗る。


「今度はどこまで乗るのー?」

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