第四幕、御三家の幕引
どういうことなのか問いただす前に、桐椰くんに詰めよった方の女子がわっと泣き出し、もう一人がそれを慰め始めた。桐椰くんは突然詰め寄られるわ泣かれるわで目を白黒させ、助けを求めて私を見る。でも私にだって何がなんだかさっぱりだ。
ただ、あのふーちゃんだ。月影くんにフラれたふーちゃんだ。松隆くんの顔面にも興味がない。多分それは事実無根だ。
「あ、あの、私もふーちゃんからそういう話聞いたことないし……多分勘違いなんじゃ……」
「でも……昨日、お父様に傘を届けに行ったとき……」
お父様? 一瞬頭の中で変換できなかった。というか、お父様呼びをするレベルの人がなぜ傘を届けに? 運転手さんの黒塗り車で送ってもらった後、社内までは娘さんが届けに行った、よしきっとそうだ。
「社長のご子息が……つまり松隆くんが、薄野さんのところのお嬢さんと……一緒になるのは順当だし安泰で……って話を……」
その話が本当なら、確かに松隆くんとふーちゃんの話だ。松隆くんのお兄さんはアメリカ留学中らしいから今そんな話が出てくるはずがないし。でも薄野ってふーちゃん以外にもいるのでは?
「その薄野さん……松隆証券の役員の薄野さんでしょって話してたから……もう絶対うちの高校の薄野さんだし……」
あぁ、うん、ふーちゃんだな。そんな話を聞いたことがあったな。
「薄野さん美人だし……可愛いし……明るいし……優しいしお嬢様だし……付き合うなら薄野さんレベルでいてほしいけど、薄野さんレベルだと私なんか勝ち目ないし……!」
ぼそぼそとふーちゃんを褒めていたその子は更にわーっと泣き出した。松隆ファンガチ勢には嫉妬深くないいい子もいるんだな……。
「や……もしかしたらそれって親たちの計画で、アイツらは付き合ってない可能性も全然……」
「でもあんな可愛くていい子勧められて断る男がいるわけないじゃない! 松隆くんだって絶対例外じゃないもん!」
この子もいい子だな! と多分桐椰くんも思ったに違いない。顔に「結局何が言いたいんだよ」と困惑が貼りついているのがその証拠だ。
「えっと……まぁ、総には聞いてみるから……まだ本当か分からないんだし落ち着けよ……」
「いま松隆くんに聞いてきたんだけど!」
ただ、あのふーちゃんだ。月影くんにフラれたふーちゃんだ。松隆くんの顔面にも興味がない。多分それは事実無根だ。
「あ、あの、私もふーちゃんからそういう話聞いたことないし……多分勘違いなんじゃ……」
「でも……昨日、お父様に傘を届けに行ったとき……」
お父様? 一瞬頭の中で変換できなかった。というか、お父様呼びをするレベルの人がなぜ傘を届けに? 運転手さんの黒塗り車で送ってもらった後、社内までは娘さんが届けに行った、よしきっとそうだ。
「社長のご子息が……つまり松隆くんが、薄野さんのところのお嬢さんと……一緒になるのは順当だし安泰で……って話を……」
その話が本当なら、確かに松隆くんとふーちゃんの話だ。松隆くんのお兄さんはアメリカ留学中らしいから今そんな話が出てくるはずがないし。でも薄野ってふーちゃん以外にもいるのでは?
「その薄野さん……松隆証券の役員の薄野さんでしょって話してたから……もう絶対うちの高校の薄野さんだし……」
あぁ、うん、ふーちゃんだな。そんな話を聞いたことがあったな。
「薄野さん美人だし……可愛いし……明るいし……優しいしお嬢様だし……付き合うなら薄野さんレベルでいてほしいけど、薄野さんレベルだと私なんか勝ち目ないし……!」
ぼそぼそとふーちゃんを褒めていたその子は更にわーっと泣き出した。松隆ファンガチ勢には嫉妬深くないいい子もいるんだな……。
「や……もしかしたらそれって親たちの計画で、アイツらは付き合ってない可能性も全然……」
「でもあんな可愛くていい子勧められて断る男がいるわけないじゃない! 松隆くんだって絶対例外じゃないもん!」
この子もいい子だな! と多分桐椰くんも思ったに違いない。顔に「結局何が言いたいんだよ」と困惑が貼りついているのがその証拠だ。
「えっと……まぁ、総には聞いてみるから……まだ本当か分からないんだし落ち着けよ……」
「いま松隆くんに聞いてきたんだけど!」