第四幕、御三家の幕引
確かに、桐椰くんの前で鹿島くんとイチャイチャして見えるのは私が悪い。その点に関してだけは反省する。
だがしかし、それは桐椰くんの機嫌を損ねるだけにはとどまらなかった。
「別に、仕事してりゃどうでもいいけど、うかうかしてると総に彼女とられんぞ」
封筒片手に荒々しく席に着いたかと思えば、刺々しい声が飛んできた。なぜ松隆くんなんだ!と狼狽した私はくるくると椅子の上で回るのをやめ、鹿島くんが意外そうに目を丸くする。
「なんで松隆なんだ? お前はとるのをやめたのか?」
ちょっと鹿島くん? 驚いたのそこ?
「別に俺は元から何もしてねーっての」
「人の彼女にキスしておきながら」
ちょっと!
「そういう話は本人の前ですんじゃねーよ!」
そこじゃないでしょ桐椰くん! そこまで口滑らせたの? というか、それを鹿島くんに話すって一体何がどういう状況?
「で、松隆の話は?」
「お前聞いてねーの、彼氏のくせに」
桐椰くんも変に情報でマウントとらないで。
「全幅の信頼を寄せてるから聞く必要がないことは聞かないんだよ」
寒気すらするんだけど、鹿島くんからの全幅の信頼。
「土曜、総と総の父親と食事行くんだって。実質お見合いだろ」
「え、ていうかなんで桐椰くんがそれ知ってんの!?」
狼狽のあまり椅子から転げ落ちそうになった。え、私、桐椰くんにその話してないよね? 松隆くんから伝わった? 松隆くんがその話を桐椰くんにする理由って何? でもって桐椰くんが鹿島くんにする理由も何!
「別に、総から聞いただけだけど」
「なんで松隆くんも桐椰くんに話すのかなぁー!」
「へー、なんで俺に言わねぇんだろうと思ってたけど、言われたくなかったのかよ」
しまった、桐椰くんが拗ねている。口角は上がってるけど目が笑ってない。でも松隆くんのお父さんと食事するなんて言えないじゃん。しかも私の両親絡みかもしれないし。寧ろ桐椰くんに話す理由がなくて益々狼狽える。
「だって、その、私も松隆くんのお父さんがどういうつもりなのか分からなくて……松隆くんは会食とか言い始めるし、なにそれって感じだし……」
だめだ、桐椰くんがどうしたら機嫌を直してくれるかしか考えていないあまり、混乱して何の説明もできていない。
だがしかし、それは桐椰くんの機嫌を損ねるだけにはとどまらなかった。
「別に、仕事してりゃどうでもいいけど、うかうかしてると総に彼女とられんぞ」
封筒片手に荒々しく席に着いたかと思えば、刺々しい声が飛んできた。なぜ松隆くんなんだ!と狼狽した私はくるくると椅子の上で回るのをやめ、鹿島くんが意外そうに目を丸くする。
「なんで松隆なんだ? お前はとるのをやめたのか?」
ちょっと鹿島くん? 驚いたのそこ?
「別に俺は元から何もしてねーっての」
「人の彼女にキスしておきながら」
ちょっと!
「そういう話は本人の前ですんじゃねーよ!」
そこじゃないでしょ桐椰くん! そこまで口滑らせたの? というか、それを鹿島くんに話すって一体何がどういう状況?
「で、松隆の話は?」
「お前聞いてねーの、彼氏のくせに」
桐椰くんも変に情報でマウントとらないで。
「全幅の信頼を寄せてるから聞く必要がないことは聞かないんだよ」
寒気すらするんだけど、鹿島くんからの全幅の信頼。
「土曜、総と総の父親と食事行くんだって。実質お見合いだろ」
「え、ていうかなんで桐椰くんがそれ知ってんの!?」
狼狽のあまり椅子から転げ落ちそうになった。え、私、桐椰くんにその話してないよね? 松隆くんから伝わった? 松隆くんがその話を桐椰くんにする理由って何? でもって桐椰くんが鹿島くんにする理由も何!
「別に、総から聞いただけだけど」
「なんで松隆くんも桐椰くんに話すのかなぁー!」
「へー、なんで俺に言わねぇんだろうと思ってたけど、言われたくなかったのかよ」
しまった、桐椰くんが拗ねている。口角は上がってるけど目が笑ってない。でも松隆くんのお父さんと食事するなんて言えないじゃん。しかも私の両親絡みかもしれないし。寧ろ桐椰くんに話す理由がなくて益々狼狽える。
「だって、その、私も松隆くんのお父さんがどういうつもりなのか分からなくて……松隆くんは会食とか言い始めるし、なにそれって感じだし……」
だめだ、桐椰くんがどうしたら機嫌を直してくれるかしか考えていないあまり、混乱して何の説明もできていない。