第四幕、御三家の幕引
私と月影くんが頼むと、それは協力ではなくて脅迫になってしまうのでは?
「俺達を罠に嵌めようとしていたときの鳥澤を思い出してみろ、それなりに演技派だ」
「今日の月影くん、いつにも増して普通は言いにくいことをガンガン口に出してくるね」
そして口には出せないけど、鳥澤くんの演技 (というべきか)を見抜くことができなかったのは、鳥澤くんが雁屋さんを私に重ねていた部分が大きいのでは? と考えるとふーちゃんの彼氏役なんて到底できない気がする。しかも鳥澤くんにとってのふーちゃんは元好きな人の元親友、複雑だ。
「でも……打ち合わせもなしに鳥澤くんが彼氏のふりなんてできるかなあ……」
「できるかじゃない、させるんだろう」
「横暴! なんで俄然ぶち壊しに乗り気になってきたの?」
「鶴羽のことが分からん限りは先に進めんからな」
気持ちは分かる、というか深古都さんに依頼した張本人の私が、一番なんとしてでも深古都さんの提示したこの任務を遂行したい。ただ、私と深古都さんの取引に第三者を巻き込むのは何か違う気がした。でも私一人ではどうしようもない……!
「……鳥澤くんに連絡してみましょう」
他に案はない。意を決してスマホを取り出し、鳥澤くんのLIMEを開く。
「一応、鳥澤と薄野の関係も聞いておけ」
「どう聞くんですか!?」
「知らん、適当にやれ」
「だから! 横暴だよね! あと三時間を切りましたよ!」
「貸せ」
月影くんにスマホを奪われた。一体なんて言って呼び出すつもりだろう、と思ったらすぐにスマホを耳に当てた。まさか。
「え、電話!?」
「なんか鳥澤がすげー可哀想に思えてきた……」
「鳥澤くんって修学旅行のときに御三家に囲まれるの辛いとかいって新幹線の席変わってたよね? あの後クラスでどうなの?」
「今まで通りだ。目が合えば挨拶はする」
気まずいってことじゃん……。私と桐椰くんが顔を見合わせていると、「桜坂さん?」と少し動揺した声が、隣にいる月影くんの手の中から聞こえてきた。カフェが静かなのと、私が通話音量を大きくしてしまっていたせいだ。
「月影だ」
「うえぇえっ!?」
「俺達を罠に嵌めようとしていたときの鳥澤を思い出してみろ、それなりに演技派だ」
「今日の月影くん、いつにも増して普通は言いにくいことをガンガン口に出してくるね」
そして口には出せないけど、鳥澤くんの演技 (というべきか)を見抜くことができなかったのは、鳥澤くんが雁屋さんを私に重ねていた部分が大きいのでは? と考えるとふーちゃんの彼氏役なんて到底できない気がする。しかも鳥澤くんにとってのふーちゃんは元好きな人の元親友、複雑だ。
「でも……打ち合わせもなしに鳥澤くんが彼氏のふりなんてできるかなあ……」
「できるかじゃない、させるんだろう」
「横暴! なんで俄然ぶち壊しに乗り気になってきたの?」
「鶴羽のことが分からん限りは先に進めんからな」
気持ちは分かる、というか深古都さんに依頼した張本人の私が、一番なんとしてでも深古都さんの提示したこの任務を遂行したい。ただ、私と深古都さんの取引に第三者を巻き込むのは何か違う気がした。でも私一人ではどうしようもない……!
「……鳥澤くんに連絡してみましょう」
他に案はない。意を決してスマホを取り出し、鳥澤くんのLIMEを開く。
「一応、鳥澤と薄野の関係も聞いておけ」
「どう聞くんですか!?」
「知らん、適当にやれ」
「だから! 横暴だよね! あと三時間を切りましたよ!」
「貸せ」
月影くんにスマホを奪われた。一体なんて言って呼び出すつもりだろう、と思ったらすぐにスマホを耳に当てた。まさか。
「え、電話!?」
「なんか鳥澤がすげー可哀想に思えてきた……」
「鳥澤くんって修学旅行のときに御三家に囲まれるの辛いとかいって新幹線の席変わってたよね? あの後クラスでどうなの?」
「今まで通りだ。目が合えば挨拶はする」
気まずいってことじゃん……。私と桐椰くんが顔を見合わせていると、「桜坂さん?」と少し動揺した声が、隣にいる月影くんの手の中から聞こえてきた。カフェが静かなのと、私が通話音量を大きくしてしまっていたせいだ。
「月影だ」
「うえぇえっ!?」