第四幕、御三家の幕引
さて、梯子を外されて憤慨した桐椰くんの隣からふーちゃん達の様子を伺うと、あのテーブルもケーキと紅茶で楽しくお話しているようだ。何の話をしているのかまでは、さすがに周りのお客さんの話し声で聞こえない。でもふーちゃんがにこにこと愛想笑いを張り付けているのはよく見えた。
「何話してるんだろうね」
「さすがに聞こえねーもんな」
「様子はどんな感じだ? 鳥澤、振り返るな」
注意されて、鳥澤くんはすぐに私達に向き直った。振り向く人の動きは不自然でふーちゃんの目に留まりやすいからだろう。
「普通に、談笑してますって感じだな」
「これじゃあ鳥澤くんが入るタイミング分からないね」
「親御さんが離席するタイミングはないのか?」
「よくあるように、あとは若い者だけでってなるらしいよ。深古都さんから聞いた」
「だが親御さんの前で見せなければ意味がないだろう」
「楽しそうに言うのやめろよ! やらされるのは俺なんだから!」
そうだよ月影くん、他人事だからってちょっとうきうきするのやめようね。いつも無表情なせいで今日はうきうきしてるのが分かりやすいからね。
「ねー桐椰くん、ツッキーっていつもこんな感じだったの? 私の中ではワルなのは松隆くんと桐椰くんだったんだけど」
「その理解で正しいよ。でもコイツは自分の好きな悪戯は本当に好き。こんな感じに」
「ははあ、なるほど」
「美味しい紅茶とケーキに舌鼓を打ちながら、親友の縁談が横槍を入れられるのを眺める。いいエンターテイメントだろう」
「今、私の中でツッキーがものすごくどす黒い腹の色をしてるよ」
「総も薄野も気が進んでないからウィンウィンではあるんだけどな」
でも、月影くんが破談に協力しちゃったら、ふーちゃんが余計に期待しちゃうのでは……。なんてことを思ってるのは多分私だけだろう。桐椰くんも天然タラシなだけで、女心には微妙に鈍いんだから。
「何話してるんだろうね」
「さすがに聞こえねーもんな」
「様子はどんな感じだ? 鳥澤、振り返るな」
注意されて、鳥澤くんはすぐに私達に向き直った。振り向く人の動きは不自然でふーちゃんの目に留まりやすいからだろう。
「普通に、談笑してますって感じだな」
「これじゃあ鳥澤くんが入るタイミング分からないね」
「親御さんが離席するタイミングはないのか?」
「よくあるように、あとは若い者だけでってなるらしいよ。深古都さんから聞いた」
「だが親御さんの前で見せなければ意味がないだろう」
「楽しそうに言うのやめろよ! やらされるのは俺なんだから!」
そうだよ月影くん、他人事だからってちょっとうきうきするのやめようね。いつも無表情なせいで今日はうきうきしてるのが分かりやすいからね。
「ねー桐椰くん、ツッキーっていつもこんな感じだったの? 私の中ではワルなのは松隆くんと桐椰くんだったんだけど」
「その理解で正しいよ。でもコイツは自分の好きな悪戯は本当に好き。こんな感じに」
「ははあ、なるほど」
「美味しい紅茶とケーキに舌鼓を打ちながら、親友の縁談が横槍を入れられるのを眺める。いいエンターテイメントだろう」
「今、私の中でツッキーがものすごくどす黒い腹の色をしてるよ」
「総も薄野も気が進んでないからウィンウィンではあるんだけどな」
でも、月影くんが破談に協力しちゃったら、ふーちゃんが余計に期待しちゃうのでは……。なんてことを思ってるのは多分私だけだろう。桐椰くんも天然タラシなだけで、女心には微妙に鈍いんだから。