第四幕、御三家の幕引
十四、追憶の牢獄の果て
「わたしは、いつまで……あなたの想い出に、いられるのかな」


 それが最期の言葉だった。


「……なにを、言ってるんだよ」


 そうとは知らず、笑い飛ばそうとして失敗した。そんな(かす)れ声で(なじ)った。



 瞑目せずとも、あの日の絶望的な光景は、容易に脳裏に浮かぶ。

 あの日あのまま、時間が止まっていればよかったのに。
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