第四幕、御三家の幕引
「いちいち責めるみたいな言い方しないでよくないですか、リーダー。聞いたよ、鹿島くんが鶴羽樹に協力してたんだって言ってた」

「じゃあ、新しい情報はないね」


 バッサリ切り捨てられた。ぐぬ……、と口籠りながら、半分意地で続ける。


「……いや、鹿島くんじゃなくて鶴羽樹のほうが本当の黒幕なんだって分かっただけいいんじゃ」

「それは深古都さんの資料のお陰で九割方確信できてたことだろ。結局、やることなすこと絡んでのた鶴羽だからな」


 ……なんだか、私のやることなすこと意味がない気がしてきた。御三家に私という下僕が必要だったのは、やはりBCCまでだったのでは……?

「まあ、全く無関係ではないっていうのは分かったとはいえ……それで鹿島が鶴羽の今後の動きを分かってるっていうなら別だけど、どうせ分からないとか言ったんでしょ?」

「そうなんですけど、だからいちいち責めるみたいな言い方をしなくてよくないですか!」


 実はこの人が一番の敵なんじゃないかとさえ思えてくる。でも松隆くんは肩をすくめてみせるだけで反省はしてくれない。くそう。


「でも、鹿島が協力してた側だろ? 本当に知らない可能性もあるんじゃね?」

「そうだな。鹿島は、正確には何と言っていた?」

「えっと……鹿島くんの役割は、“鹿島くんの目的は松隆くんを陥れることにあって、鶴羽樹が鹿島くんに協力してる”と私達に思わせることだった、って」

「……要は鹿島の役割は、鶴羽の隠れ蓑になることか。他には?」

「他は特に……。鶴羽樹が何をしようとしてるのかは、本当に何も知らないとか」

「……どうだかね」


 松隆くん達がしつこく鹿島くんを疑う理由は、やはり夏休みの痴漢事件にあるのだろうか……。確かに、ことあるごとに鹿島くんにキスはされたけど、あれは疑いの目を自分に向けるためだったのかな……。こうして裏を読み始めるときりがない。

 そこで各自のサンドイッチが運ばれてきて、一度話し合いは途切れた。月影くんも松隆くんも野菜たっぷりトマトとベーコンのサンド。桐椰くんはトマトとモッツァレラのサンド。照り焼きチキンサンドを持ってる私のほうが男子高校生みたいで、なんだかおかしい。


「どうしたの、桜坂」

「なんか……三人共女子力高いなって……」

「君のが低い結果、俺達が相対的に高く見えるだけだろう」

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