第四幕、御三家の幕引
「あの二人の予想には、君が幕張匠だという前提がどうしても欠けている」

「あ、そっか……。確かに、それはそうだね……」


 ということは、いい加減暴露しろという催促だろうか? そんな目を向けると「今すぐ話せというつもりはないが」と心を読まれた。


「その情報がない以上、あの二人は、鶴羽の計画として、君を人質にした集団暴行でなく、遼か、遼と総に対する直接的な暴行のほうをどうしても想定する。もちろん、前者に関して油断するとはいえないが、確率が高いと考えているのは後者のほうだ。君が話さない以上、あの二人に現実的に危機感を抱かせるのが難しいことは分かっておけ」

「……リスクの天秤ってことだね。分かってるよ」


 本当は、私が自分で鶴羽樹の行動を予測できれば苦労しないのだけれど。ふう、と疲れて溜息を吐いた。


「……大丈夫。御三家にはこれ以上迷惑はかけないよ」

「…………。……そうか」


 月影くんは、一拍置いたわりには頷いただけで、それならいい、とまでは言わなかった。
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