第四幕、御三家の幕引
ついでに海咲さんのことも聞きたかったけれど、ここで逆上されてナイフで刺されるのはごめんなので、やめておいた。
「ああ。だってアイツら、気持ち悪いだろ。いつも一緒にいて、ベタベタしてさ。俺と明貴人はそういうのじゃねーよ」
鹿島くんも、似たようなことを言ってたな……。でも、鹿島くんよりも鶴羽樹のほうが三人の関係に嫌悪感を示している気がする。そういえば、鶴羽樹は三人と中学も一緒だったもんな……。中学生のときは、あの三人に加えて透冶くんもいたわけだし、余計に仲の良さが際立っていたのかもしれない。
第六校舎に着くと、鶴羽樹が校舎の鍵を開けた。なぜ鍵を持っているのか、一瞬考えてしまったけれど、学校の鍵だから鹿島くんが用意してくれたんだろう、と納得した。
「……これからどうするの?」
「そういえばスマホは?」
「……持ってるけど、貸せって言うんでしょ」
物分かりよく差し出すと、階段を上るように指示された。二階は空き教室ばかりなのを見たことがあったけど、そこに監禁されるのだろうか。確かに、御三家にとっては灯台下暗しかもしれない。
「なんで止まってんの?」
「え?」
二階に上ったところで立ち止まると「止まれなんて言ってねーだろ」と更に上るように促された。
何階に行けとも指示されず、ただ階段を上った。たまに階段の途中で鶴羽樹を振り返れば「まだだよ」と更に上るよう促され──遂に屋上の扉前まで連れて来られた。
鶴羽樹は、当然のように屋上の鍵も持っていた。もしかしたら、生徒会室にいくつかの鍵が置いてあって、その中に第六校舎の入口のものと、屋上のものもあったのかもしれない。
鶴羽樹に促されて扉を開ければ、高所らしい突風に迎えられた。思わず一瞬目を瞑り、風が過ぎるのを待つ。
目を開くと、そこには、呆然とするほど無機質な空間が広がっていた。
「雨柳透冶が死んだところだよ」
ガチャン、と鶴羽樹が後手に扉を閉めた。同時にその口から放たれた過去は、この空間に不気味さを与えるのには充分だった。
「ああ。だってアイツら、気持ち悪いだろ。いつも一緒にいて、ベタベタしてさ。俺と明貴人はそういうのじゃねーよ」
鹿島くんも、似たようなことを言ってたな……。でも、鹿島くんよりも鶴羽樹のほうが三人の関係に嫌悪感を示している気がする。そういえば、鶴羽樹は三人と中学も一緒だったもんな……。中学生のときは、あの三人に加えて透冶くんもいたわけだし、余計に仲の良さが際立っていたのかもしれない。
第六校舎に着くと、鶴羽樹が校舎の鍵を開けた。なぜ鍵を持っているのか、一瞬考えてしまったけれど、学校の鍵だから鹿島くんが用意してくれたんだろう、と納得した。
「……これからどうするの?」
「そういえばスマホは?」
「……持ってるけど、貸せって言うんでしょ」
物分かりよく差し出すと、階段を上るように指示された。二階は空き教室ばかりなのを見たことがあったけど、そこに監禁されるのだろうか。確かに、御三家にとっては灯台下暗しかもしれない。
「なんで止まってんの?」
「え?」
二階に上ったところで立ち止まると「止まれなんて言ってねーだろ」と更に上るように促された。
何階に行けとも指示されず、ただ階段を上った。たまに階段の途中で鶴羽樹を振り返れば「まだだよ」と更に上るよう促され──遂に屋上の扉前まで連れて来られた。
鶴羽樹は、当然のように屋上の鍵も持っていた。もしかしたら、生徒会室にいくつかの鍵が置いてあって、その中に第六校舎の入口のものと、屋上のものもあったのかもしれない。
鶴羽樹に促されて扉を開ければ、高所らしい突風に迎えられた。思わず一瞬目を瞑り、風が過ぎるのを待つ。
目を開くと、そこには、呆然とするほど無機質な空間が広がっていた。
「雨柳透冶が死んだところだよ」
ガチャン、と鶴羽樹が後手に扉を閉めた。同時にその口から放たれた過去は、この空間に不気味さを与えるのには充分だった。