第四幕、御三家の幕引
ぐるぐると考え込んでいて、はっと気づいた。そうか、鹿島くんは彼女にお土産を買う良き彼氏を演じるためにお土産を買ったのか。どうせ微々たる出費、それがもたらす効果を考えればコスパは悪くないと。体裁と体面にこだわる生徒会長、そこもぬかりないということだ。
「じゃあ私も八橋買ってあげるね」
「≪甘いものは好きじゃない、やめろ≫」
「そうなの? やっぱり桐椰くんみたいな可愛げないね」
「≪彼氏に向かって他の男の話を何度もするのはやめなよ、嫉妬させたいにしても可愛げがないぞ≫」
「じゃあ千枚通しでも買ってこようかな」
「≪因みに俺が買ったのはペアグラスだから生徒会室で好きに使いなよ≫」
「もしかして明貴人くんはお金をかけて嫌がらせをする趣味があるのかな」
エレベーターを降りながら、最早頭痛がしてきた。食べることも捨てることもできないそんなものを一体どうしろと。
「ていうか千枚通しに対してその返事って何、ペアの何か買って来いってこと?」
「≪正解、松隆の前で買えばなお良し≫」
「さっきから何でお土産なんて買ったんだろうって思ってたけどそういうことね! 松隆くんに対する陰湿な嫌がらせね! 散々したけどまたもやドン引きだよ! ていうか細やかすぎるしそれをネチネチ気にすると思われてる松隆くんも可哀想だよ!」
「≪じゃ、俺も風呂に行くから。おやすみ≫」
一方的に電話は切られた。お陰で暫く呆然と立ち尽くしてしまったし、恐る恐るスマホを耳から離した後も、通話終了の文字がよく理解できないくらいには思考が停止してしまっていた。
鹿島くん、松隆くんへの嫌がらせをするべくお揃いのお土産を買ったって言ったけど、本当に本当かな……。ペアグラスなんて学校には置かないから目につかないし……、いや生徒会室に置くなら桐椰くんが見ないことはないけど、それは遠回しに過ぎるのでは……。
鹿島くんの言葉は嘘と本当が混ざってるから、さっきの説明を全部信じないこともできる。ただ、お土産を買ったのは本当だろうし……もし理由があるとしたら……考えたくはないけれど、鹿島くんが私を好きという……。
「……まさかね」
「じゃあ私も八橋買ってあげるね」
「≪甘いものは好きじゃない、やめろ≫」
「そうなの? やっぱり桐椰くんみたいな可愛げないね」
「≪彼氏に向かって他の男の話を何度もするのはやめなよ、嫉妬させたいにしても可愛げがないぞ≫」
「じゃあ千枚通しでも買ってこようかな」
「≪因みに俺が買ったのはペアグラスだから生徒会室で好きに使いなよ≫」
「もしかして明貴人くんはお金をかけて嫌がらせをする趣味があるのかな」
エレベーターを降りながら、最早頭痛がしてきた。食べることも捨てることもできないそんなものを一体どうしろと。
「ていうか千枚通しに対してその返事って何、ペアの何か買って来いってこと?」
「≪正解、松隆の前で買えばなお良し≫」
「さっきから何でお土産なんて買ったんだろうって思ってたけどそういうことね! 松隆くんに対する陰湿な嫌がらせね! 散々したけどまたもやドン引きだよ! ていうか細やかすぎるしそれをネチネチ気にすると思われてる松隆くんも可哀想だよ!」
「≪じゃ、俺も風呂に行くから。おやすみ≫」
一方的に電話は切られた。お陰で暫く呆然と立ち尽くしてしまったし、恐る恐るスマホを耳から離した後も、通話終了の文字がよく理解できないくらいには思考が停止してしまっていた。
鹿島くん、松隆くんへの嫌がらせをするべくお揃いのお土産を買ったって言ったけど、本当に本当かな……。ペアグラスなんて学校には置かないから目につかないし……、いや生徒会室に置くなら桐椰くんが見ないことはないけど、それは遠回しに過ぎるのでは……。
鹿島くんの言葉は嘘と本当が混ざってるから、さっきの説明を全部信じないこともできる。ただ、お土産を買ったのは本当だろうし……もし理由があるとしたら……考えたくはないけれど、鹿島くんが私を好きという……。
「……まさかね」