第四幕、御三家の幕引
「結構知り合いだらけのクラスになりそうだよな。うちの学年で上から男女三十人とったら薄野と鳥澤もいるし」
「二人共文系だっけ?」
「いや、鳥澤は理系だ」
「じゃあ駿哉と一緒じゃん」
「あ、鹿島くんもいるじゃん。しかも文系」
「なんか鬱陶しいクラスだな……」
「多分鹿島くんも同じこと思ってるよ。喜ぶのはふーちゃんくらい」
「なぜ薄野なんだ」
「ほら、ふーちゃんは桐椰くんと松隆くんで妄想するのが好きだから……」
「本当に鬱陶しいクラスだな」
今日の最高気温は十八度。校門付近には梅の花が咲き、すっかり春を迎えている。
平和を取り戻した帰路では、各自が最短の帰り道を選ぶ。ただ、桐椰くんだけは、もう癖のように私と同じ方向に足を向けた。
「送ってくれるの?」
「一応な……」
「一緒に帰りたいだけでしょ」
「ちげーようるせーな!」
松隆くんに鼻で笑われ、桐椰くんは怒鳴り返す。私だって怒鳴り返したいくらいには複雑な気持ちだ。っていうか、あの王子様のあの態度、幾度となく思ったけど、私のこと好きなのか疑わしいよね。
「じゃ、また明日ね、遼」
「ん、じゃーな」
「またね、桜坂」
「ばいばーい」
「桜坂、君は始業式までさようならだな」
「始業式に会ってくれるのが決まってるだけデレなんだって思っとくね。伊達にツッキーの攻略方法見つけてないから」
「じゃあな、遼」
「無視!」
「じゃーな」
その光景には、どこか既視感があったのだけれど、BCCの最終日の帰り道と同じなのだと気づいた。あれからまだ一年も経ってないけれど、三人との関係性はすっかり変わっていて。
「どうした?」
「……ん」
二人に背を向けて歩き出しながら、少しだけ感傷に浸る。
「……なんか、当たり前みたいに受け入れてたっていうか、当然みたいな顔してたけど、三人ともよく屋上まで助けに来てくれたなぁって」
「別に、それこそ当たり前でいいだろ。気づいたらお前が攫われてるとか、事件なはずなのにいい加減慣れたっての」
『……こんな風に言われなくたって、君にはもう、分かってただろう?』
思わず、鹿島くんの言葉を思い出してしまった。
「二人共文系だっけ?」
「いや、鳥澤は理系だ」
「じゃあ駿哉と一緒じゃん」
「あ、鹿島くんもいるじゃん。しかも文系」
「なんか鬱陶しいクラスだな……」
「多分鹿島くんも同じこと思ってるよ。喜ぶのはふーちゃんくらい」
「なぜ薄野なんだ」
「ほら、ふーちゃんは桐椰くんと松隆くんで妄想するのが好きだから……」
「本当に鬱陶しいクラスだな」
今日の最高気温は十八度。校門付近には梅の花が咲き、すっかり春を迎えている。
平和を取り戻した帰路では、各自が最短の帰り道を選ぶ。ただ、桐椰くんだけは、もう癖のように私と同じ方向に足を向けた。
「送ってくれるの?」
「一応な……」
「一緒に帰りたいだけでしょ」
「ちげーようるせーな!」
松隆くんに鼻で笑われ、桐椰くんは怒鳴り返す。私だって怒鳴り返したいくらいには複雑な気持ちだ。っていうか、あの王子様のあの態度、幾度となく思ったけど、私のこと好きなのか疑わしいよね。
「じゃ、また明日ね、遼」
「ん、じゃーな」
「またね、桜坂」
「ばいばーい」
「桜坂、君は始業式までさようならだな」
「始業式に会ってくれるのが決まってるだけデレなんだって思っとくね。伊達にツッキーの攻略方法見つけてないから」
「じゃあな、遼」
「無視!」
「じゃーな」
その光景には、どこか既視感があったのだけれど、BCCの最終日の帰り道と同じなのだと気づいた。あれからまだ一年も経ってないけれど、三人との関係性はすっかり変わっていて。
「どうした?」
「……ん」
二人に背を向けて歩き出しながら、少しだけ感傷に浸る。
「……なんか、当たり前みたいに受け入れてたっていうか、当然みたいな顔してたけど、三人ともよく屋上まで助けに来てくれたなぁって」
「別に、それこそ当たり前でいいだろ。気づいたらお前が攫われてるとか、事件なはずなのにいい加減慣れたっての」
『……こんな風に言われなくたって、君にはもう、分かってただろう?』
思わず、鹿島くんの言葉を思い出してしまった。