第四幕、御三家の幕引
(二)偶然と奇妙な同行
修学旅行は四泊五日。関西組は大阪で宿泊するホテルが決められているだけで、どこへ遊びに行くも自由。大体のパターンは神戸と京都で一日ずつ、三重か和歌山で一日、大阪の某アトラクション施設で一日で計四日過ごし、五日目に大阪の町を散策して、新大阪発の夕方の新幹線で帰る。
そんな、修学旅行なんて名ばかりの自由な旅行。説明なんて必要なく、事前には「修学旅行にあたって」という紙が一枚と新幹線の切符が配られただけだった。「修学旅行にあたって」に書かれているのも、宿泊場所と往復の新幹線の時間と門限だけ。みんなが旅行慣れしている前提なのだろうか。
当日だって集合場所は新幹線の中だ。引率教員も含めてグリーン車が一両ぴったり埋まる人数なので、空席があれば欠席がいます、ということらしい。
そんな修学旅行当日から、私の引きは最悪だった。
「大阪ってどっちかいうと食べる系じゃない? 五日目に行けば十分でしょ」
「え、海遊館いかねーの? 俺ジンベイザメみたいんだけど」
「俺もペンギンが見たいな」
「あぁ、そうだね。それは行こうか」
「海遊館って十時からだろ? だったら今日行けば丁度よくね?」
「確かに。じゃあ京都は明日行こうか」
「伊勢神宮と神戸が二択だよな……。最終日が新神戸発ならよかったんだけどな……荷物も邪魔だし」
「最終日に宅配で出せばいいんじゃない? どうせ急いで必要なものないでしょ」
「結局新大阪まで戻るのが面倒だということの解決にはなってないだろう」
「JRで一本だからどうにかなるといえばなるけど、やっぱ面倒だな」
「じゃあやっぱり神戸はやめとこうか」
「USJ行かなかったら神戸行けるけど」
「でも今しかやってないアトラクションあるじゃん? 神戸自体はいつでも行けるしねぇ」
「まぁそれもそうだな。だったら今日は海遊館、明日京都、明後日伊勢神宮、明々後日USJ、最終日に心斎橋から難波だな」
「そうだね、それで決まりかな。ところで、桜坂はどうする予定なの?」
いや、もしかしたら引きなんてものじゃなくて仕組まれたのかもしれない。通路を挟んで隣からにっこり笑みを向けてくる松隆くんには何も返事などできなかった。
そう、クラス順であるはずの新幹線の席にて、なぜかこの列には、月影くん、松隆くん、私、そして桐椰くんが座っていた。
そんな、修学旅行なんて名ばかりの自由な旅行。説明なんて必要なく、事前には「修学旅行にあたって」という紙が一枚と新幹線の切符が配られただけだった。「修学旅行にあたって」に書かれているのも、宿泊場所と往復の新幹線の時間と門限だけ。みんなが旅行慣れしている前提なのだろうか。
当日だって集合場所は新幹線の中だ。引率教員も含めてグリーン車が一両ぴったり埋まる人数なので、空席があれば欠席がいます、ということらしい。
そんな修学旅行当日から、私の引きは最悪だった。
「大阪ってどっちかいうと食べる系じゃない? 五日目に行けば十分でしょ」
「え、海遊館いかねーの? 俺ジンベイザメみたいんだけど」
「俺もペンギンが見たいな」
「あぁ、そうだね。それは行こうか」
「海遊館って十時からだろ? だったら今日行けば丁度よくね?」
「確かに。じゃあ京都は明日行こうか」
「伊勢神宮と神戸が二択だよな……。最終日が新神戸発ならよかったんだけどな……荷物も邪魔だし」
「最終日に宅配で出せばいいんじゃない? どうせ急いで必要なものないでしょ」
「結局新大阪まで戻るのが面倒だということの解決にはなってないだろう」
「JRで一本だからどうにかなるといえばなるけど、やっぱ面倒だな」
「じゃあやっぱり神戸はやめとこうか」
「USJ行かなかったら神戸行けるけど」
「でも今しかやってないアトラクションあるじゃん? 神戸自体はいつでも行けるしねぇ」
「まぁそれもそうだな。だったら今日は海遊館、明日京都、明後日伊勢神宮、明々後日USJ、最終日に心斎橋から難波だな」
「そうだね、それで決まりかな。ところで、桜坂はどうする予定なの?」
いや、もしかしたら引きなんてものじゃなくて仕組まれたのかもしれない。通路を挟んで隣からにっこり笑みを向けてくる松隆くんには何も返事などできなかった。
そう、クラス順であるはずの新幹線の席にて、なぜかこの列には、月影くん、松隆くん、私、そして桐椰くんが座っていた。