大丈夫、浮気じゃないから。
不穏な言葉に「でもただの先輩と後輩の仲の良さだって──」と反論をしようとしたのに「んじゃ、俺達はコート行くから」と無視されてしまった。烏間先輩が手を振れば喜多山先輩も「みどりちゃんもたまには顔出してねー」といいながら行ってしまった。再び、私とみどりの2人の組み合わせに戻る。
……みどりに、私と松隆との間にあった話はできなかった。
「……さっき烏間先輩が言ってたんだけど、1回生の今出さん、やめるらしいよ」
「あー……松隆くんにフラれたから?」
「知ってるの?」
驚いたけれど「沙那ちゃんから聞いてん」と納得の情報源だった。
「今出さん、松隆くんに一目惚れしてサークル入ったらしいから。フラれたら、そりゃ辞めるよなあって」
「一目惚れ……なんだ」
「松隆くんはほんまにイケメンやし、しゃーない」まるで自分に言い聞かせるように頷きながら「でもあの松隆くんに告白するって、今出さん頑張ったな思うわ」
「まあ、ハードル高いよね、あのイケメンは」
「松隆くん、なに考えてるか分からんしなあ」
「分からないのが分かる」
思わず食い気味に頷いてしまった。でもみどりは「え、生葉ちゃんも?」と意外そうな反応をする。
「生葉ちゃんくらい仲良いと分かるんやと思ってた」
「仲は良いけど……」あ、やっぱり私ってそんなに松隆と仲良く見えるんだ、なんて思いながら「最近の松隆は何を考えてるか分からないっていうか……結構素直なタイプなんだけどね。基本的には分かりやすいし」
「松隆くん、生葉ちゃんには懐いてるから生葉ちゃんにだけ素直なんちゃう」
また、自分の顔が強張ってしまうのを感じた。でもみどりは気付かない。
「……まあ、懐かれてる、よね……たぶん……」
「松隆くん、生葉ちゃんのことめっちゃ好きやんなあ」ドクンと心臓が跳ねたけれど、やはりみどりは気が付かず「いつか松隆くんに彼女ができたら、生葉ちゃんめっちゃ嫉妬されそう」
「……それは、気を付けないと」
「そうなったら松隆くんも気を付けるかもしれへんけどな。松隆くん、絶対彼女のことめっちゃ大事にするタイプやで」
「……そんな気はする」
ただの先輩である私にさえこんなに優しいのだから。松隆から返事が来ているのだろうスマホを握りしめながら、そんなことを思った。
……みどりに、私と松隆との間にあった話はできなかった。
「……さっき烏間先輩が言ってたんだけど、1回生の今出さん、やめるらしいよ」
「あー……松隆くんにフラれたから?」
「知ってるの?」
驚いたけれど「沙那ちゃんから聞いてん」と納得の情報源だった。
「今出さん、松隆くんに一目惚れしてサークル入ったらしいから。フラれたら、そりゃ辞めるよなあって」
「一目惚れ……なんだ」
「松隆くんはほんまにイケメンやし、しゃーない」まるで自分に言い聞かせるように頷きながら「でもあの松隆くんに告白するって、今出さん頑張ったな思うわ」
「まあ、ハードル高いよね、あのイケメンは」
「松隆くん、なに考えてるか分からんしなあ」
「分からないのが分かる」
思わず食い気味に頷いてしまった。でもみどりは「え、生葉ちゃんも?」と意外そうな反応をする。
「生葉ちゃんくらい仲良いと分かるんやと思ってた」
「仲は良いけど……」あ、やっぱり私ってそんなに松隆と仲良く見えるんだ、なんて思いながら「最近の松隆は何を考えてるか分からないっていうか……結構素直なタイプなんだけどね。基本的には分かりやすいし」
「松隆くん、生葉ちゃんには懐いてるから生葉ちゃんにだけ素直なんちゃう」
また、自分の顔が強張ってしまうのを感じた。でもみどりは気付かない。
「……まあ、懐かれてる、よね……たぶん……」
「松隆くん、生葉ちゃんのことめっちゃ好きやんなあ」ドクンと心臓が跳ねたけれど、やはりみどりは気が付かず「いつか松隆くんに彼女ができたら、生葉ちゃんめっちゃ嫉妬されそう」
「……それは、気を付けないと」
「そうなったら松隆くんも気を付けるかもしれへんけどな。松隆くん、絶対彼女のことめっちゃ大事にするタイプやで」
「……そんな気はする」
ただの先輩である私にさえこんなに優しいのだから。松隆から返事が来ているのだろうスマホを握りしめながら、そんなことを思った。