大丈夫、浮気じゃないから。
きっと私はぼんやりとしてしまっていたのだろう。松隆の声で我に返り、松隆がリビングに戻ろうとしているのを見て慌ててリビングに戻った。烏間先輩はソファを離れ、我が物顔で本棚を物色している。
「松隆、成葉菖子好きなの?」
「ええ。知ってるんですか?」
「んー、ミーハーだけどな。『Good bye my...』が何年か前に映画化したろ、あれで知った」
「誰ですか、それ」
烏間先輩の隣に屈むと、授業の指定教科書のほかに何冊か文庫本が並んでいて、そのうちいくつかの本の作者が『成葉菖子』だった。烏間先輩が言った『Good bye my...』のほかに『Everlasting ever words』『目蓋の裏に』『君のいない夏』がある。どれも知らない。
「有名なんですか?」
「いやー、微妙? 結局、ヒットしたのって『Good bye my...』だけだよな」
烏間先輩は肩を竦め、松隆も「ですね」と頷き『Good bye my...』を手に取る。表紙はアニメーションイラストで、松隆がそんなのを持っているのは意外だった。
「この新装版を持ってるとミーハーって言われちゃうかもしれないんですけど」どうやらもともとはありふれた文庫本の表紙だったらしい「昔から好きで、これだけアニメーション映画化されたんですよ。CMくらい、見たことあるんじゃないですか?」
「んー、見覚えがあるような、ないような」
「てか、もうすぐ金ローでやるんじゃなかったっけ」
「え、そうなんです?」
珍しく松隆が驚いた声を出し、スマホて調べ始める。よっぽど好きらしい。
「どんな話なんですか? この『Good bye my...』って」
「一言でいうと、テーマは愛のかたちかな」
「…………」
「俺が言ってるんじゃないって、世間的にそう言われてるって。な、松隆」
「ええ」松隆はスマホから顔を上げずに「魔女が人間の孤児を拾って育てる話です。魔女には、いわゆる人間らしい愛情が欠如しているという設定なんですけど、まあ、孤児を通じて愛情の与え方を知っていくというか、そんな話ですね。人間の愛情と魔女の愛情のすれ違いが描かれているんで、テーマを一言でいうなら愛のかたち」
「松隆がオタクに見えた」
「コイツは結構そういうところあるよ」
「松隆、成葉菖子好きなの?」
「ええ。知ってるんですか?」
「んー、ミーハーだけどな。『Good bye my...』が何年か前に映画化したろ、あれで知った」
「誰ですか、それ」
烏間先輩の隣に屈むと、授業の指定教科書のほかに何冊か文庫本が並んでいて、そのうちいくつかの本の作者が『成葉菖子』だった。烏間先輩が言った『Good bye my...』のほかに『Everlasting ever words』『目蓋の裏に』『君のいない夏』がある。どれも知らない。
「有名なんですか?」
「いやー、微妙? 結局、ヒットしたのって『Good bye my...』だけだよな」
烏間先輩は肩を竦め、松隆も「ですね」と頷き『Good bye my...』を手に取る。表紙はアニメーションイラストで、松隆がそんなのを持っているのは意外だった。
「この新装版を持ってるとミーハーって言われちゃうかもしれないんですけど」どうやらもともとはありふれた文庫本の表紙だったらしい「昔から好きで、これだけアニメーション映画化されたんですよ。CMくらい、見たことあるんじゃないですか?」
「んー、見覚えがあるような、ないような」
「てか、もうすぐ金ローでやるんじゃなかったっけ」
「え、そうなんです?」
珍しく松隆が驚いた声を出し、スマホて調べ始める。よっぽど好きらしい。
「どんな話なんですか? この『Good bye my...』って」
「一言でいうと、テーマは愛のかたちかな」
「…………」
「俺が言ってるんじゃないって、世間的にそう言われてるって。な、松隆」
「ええ」松隆はスマホから顔を上げずに「魔女が人間の孤児を拾って育てる話です。魔女には、いわゆる人間らしい愛情が欠如しているという設定なんですけど、まあ、孤児を通じて愛情の与え方を知っていくというか、そんな話ですね。人間の愛情と魔女の愛情のすれ違いが描かれているんで、テーマを一言でいうなら愛のかたち」
「松隆がオタクに見えた」
「コイツは結構そういうところあるよ」