大丈夫、浮気じゃないから。
「心あっての体なのでそもそも文意を理解しかねます」
「イケメンかよ。いや、松隆はイケメンだけど」
そう、この松隆総二郎、とんでもないイケメンなのである。筆で描いたように綺麗な眉毛、優し気な目と肌に影を落としそうなほど長い睫毛。そして嫌味なく高く、少し鉤鼻気味の鼻と薄く笑みを穿いた唇まで、ごめんなさいと言いたくなるほど完璧に整った顔立ちをしている。
それでもって頭が切れて人当たりがいい、テニスはインハイレベルなんて完璧超人だ。お陰様で、一目見た時から胡散臭さが溢れていて、コイツは下手に可愛がってはいけない後輩だと警戒していた。
だが、それも最初の話。実は結構素直で可愛いただの後輩だと分かったので、いまとなってはサークルで随一に可愛い後輩である。もしかしたら騙されているのかもしれないけれど。
「少なくとも、どこまではセーフでどこからがアウトだなんて、そんなラインを見極めてる時点でくだらないですよ。彼女がイヤって言うならやめればいい」イケメン発言に勢いよく相槌を打とうとして「そのイヤに納得ができないなら別れればいい。それだけのことでしょ」正論に閉口した。
「……つまりイヤを言えない彼女は」
「別れを切りだしてはいかがでしょうか」
「……先輩を正論で殴るのはやめなさい」
ニッコリなんて聞こえてきそうな笑顔に拳をめり込ませたくなった。
「で、件の大宮先輩は? 今日も富野先輩と仲良くやってくるんですかね」
「よくない! 先輩をそうやっていじめるのはよくない! 教わらなかったのかな!」
なんて噂をすれば影、テニスコートの入口には連れだって現れる大宮|紘と富野|茉莉。テニスコートの端からその2人の様子をガン見する私に、松隆は一層、その意地悪な笑みを深くした。
「そういえば、友達に聞かれたんですよね。富野先輩と大宮先輩って付き合ってるのかって。富野先輩と大宮先輩、いつも一緒に授業受けてますから」
「…………」
「僕ら1回生の中でも、富野先輩は有名なんですよ、経済学部の2回生で一番可愛いって。うちの大学でミスコンがあったらぶっちぎりナンバーワンだろうなって」
「…………」
「イケメンかよ。いや、松隆はイケメンだけど」
そう、この松隆総二郎、とんでもないイケメンなのである。筆で描いたように綺麗な眉毛、優し気な目と肌に影を落としそうなほど長い睫毛。そして嫌味なく高く、少し鉤鼻気味の鼻と薄く笑みを穿いた唇まで、ごめんなさいと言いたくなるほど完璧に整った顔立ちをしている。
それでもって頭が切れて人当たりがいい、テニスはインハイレベルなんて完璧超人だ。お陰様で、一目見た時から胡散臭さが溢れていて、コイツは下手に可愛がってはいけない後輩だと警戒していた。
だが、それも最初の話。実は結構素直で可愛いただの後輩だと分かったので、いまとなってはサークルで随一に可愛い後輩である。もしかしたら騙されているのかもしれないけれど。
「少なくとも、どこまではセーフでどこからがアウトだなんて、そんなラインを見極めてる時点でくだらないですよ。彼女がイヤって言うならやめればいい」イケメン発言に勢いよく相槌を打とうとして「そのイヤに納得ができないなら別れればいい。それだけのことでしょ」正論に閉口した。
「……つまりイヤを言えない彼女は」
「別れを切りだしてはいかがでしょうか」
「……先輩を正論で殴るのはやめなさい」
ニッコリなんて聞こえてきそうな笑顔に拳をめり込ませたくなった。
「で、件の大宮先輩は? 今日も富野先輩と仲良くやってくるんですかね」
「よくない! 先輩をそうやっていじめるのはよくない! 教わらなかったのかな!」
なんて噂をすれば影、テニスコートの入口には連れだって現れる大宮|紘と富野|茉莉。テニスコートの端からその2人の様子をガン見する私に、松隆は一層、その意地悪な笑みを深くした。
「そういえば、友達に聞かれたんですよね。富野先輩と大宮先輩って付き合ってるのかって。富野先輩と大宮先輩、いつも一緒に授業受けてますから」
「…………」
「僕ら1回生の中でも、富野先輩は有名なんですよ、経済学部の2回生で一番可愛いって。うちの大学でミスコンがあったらぶっちぎりナンバーワンだろうなって」
「…………」