大丈夫、浮気じゃないから。
「大宮先輩と津川先輩、同じくらい頭おかしいですよね」
「人の彼氏を捕まえて頭おかしいとかいうんじゃありません」
「でも頭おかしいって思ってるでしょ」
「思うけどそんなこと言ったら余計に沙那にあることないこと言いふらされるだけじゃん!」
沙那を一言で表すならば、“噂好き”。他人の友人関係から色恋沙汰まで、沙那はとにかく情報を集めるのが大好きで、しかもたちの悪いことに、伝えてはいけないことを伝えてはいけない相手に伝えてしまう。紘と2人で飲みに行った際に口留めをされたと私に伝えたのがまさしくそれだ。
「きっと私があそこで怒れば『紘と2人で飲みに行ったら生葉に怒られちゃった』って紘に伝えるんだよ……」
「津川先輩と大宮先輩の仲が良いのが運の尽きですね」
そのとおりだ。お陰様で、私が紘に話したことは沙那に筒抜け、そこからサークル全体に筒抜け状態。他人に言われたくないことは紘に話してはならないと決めた。
「正直、大宮先輩と津川先輩が仲が良いの、結構謎ですよね」言葉のとおり首を捻りながら「津川先輩と仲が良い男って、めちゃくちゃ性格が良いか、流されやすいかのどっちかですけど、大宮先輩ってどちらでもないですよね」
「ツッコミにくい評価はやめなさい。そのとおりだけど」
正直、沙那の性格は良いとは言い難い。頑張っても「悪い子じゃないんだよ」がいいところだ。結果、沙那と仲が良い子は、沙那と仲良くできるくらい性格がいいか、沙那の口から聞く噂話を一緒になって楽しんでしまう、朱に交われば赤といったタイプの子のどちらか。ただ、紘はそのどちらでもない。
「でも、噂を好きじゃない人のほうが珍しいからなあ」だし巻き卵をつつきながら頬杖をついて「紘も、沙那と話してて楽しいんじゃないかな」
「あんまりよくない楽しみ方な気がしますけどね」
なんとなく自分を納得させようとしたのに、松隆にばっさり切って落とされた。ぐうの音も出ない。
「……松隆って沙那のこと嫌いだよね」
「そうですね」
「沙那は松隆のこと好きなのにね」
「津川先輩は僕ではなくて僕の顔が好きなんですよ」
松隆は自分の顔が良いと自覚しているのだけれど、基本的に開き直っていて、それを鼻にかける様子は微塵もない。私が騙されていなければ、だけれど。
「人の彼氏を捕まえて頭おかしいとかいうんじゃありません」
「でも頭おかしいって思ってるでしょ」
「思うけどそんなこと言ったら余計に沙那にあることないこと言いふらされるだけじゃん!」
沙那を一言で表すならば、“噂好き”。他人の友人関係から色恋沙汰まで、沙那はとにかく情報を集めるのが大好きで、しかもたちの悪いことに、伝えてはいけないことを伝えてはいけない相手に伝えてしまう。紘と2人で飲みに行った際に口留めをされたと私に伝えたのがまさしくそれだ。
「きっと私があそこで怒れば『紘と2人で飲みに行ったら生葉に怒られちゃった』って紘に伝えるんだよ……」
「津川先輩と大宮先輩の仲が良いのが運の尽きですね」
そのとおりだ。お陰様で、私が紘に話したことは沙那に筒抜け、そこからサークル全体に筒抜け状態。他人に言われたくないことは紘に話してはならないと決めた。
「正直、大宮先輩と津川先輩が仲が良いの、結構謎ですよね」言葉のとおり首を捻りながら「津川先輩と仲が良い男って、めちゃくちゃ性格が良いか、流されやすいかのどっちかですけど、大宮先輩ってどちらでもないですよね」
「ツッコミにくい評価はやめなさい。そのとおりだけど」
正直、沙那の性格は良いとは言い難い。頑張っても「悪い子じゃないんだよ」がいいところだ。結果、沙那と仲が良い子は、沙那と仲良くできるくらい性格がいいか、沙那の口から聞く噂話を一緒になって楽しんでしまう、朱に交われば赤といったタイプの子のどちらか。ただ、紘はそのどちらでもない。
「でも、噂を好きじゃない人のほうが珍しいからなあ」だし巻き卵をつつきながら頬杖をついて「紘も、沙那と話してて楽しいんじゃないかな」
「あんまりよくない楽しみ方な気がしますけどね」
なんとなく自分を納得させようとしたのに、松隆にばっさり切って落とされた。ぐうの音も出ない。
「……松隆って沙那のこと嫌いだよね」
「そうですね」
「沙那は松隆のこと好きなのにね」
「津川先輩は僕ではなくて僕の顔が好きなんですよ」
松隆は自分の顔が良いと自覚しているのだけれど、基本的に開き直っていて、それを鼻にかける様子は微塵もない。私が騙されていなければ、だけれど。