大丈夫、浮気じゃないから。
ショックはショックだったのかもしれない。ただ、隣に松隆がいるのは……味方がいるような安心感があった。実際、味方ではあると思うし。
世間一般論でいえば、支えてくれる人といえば恋人なのに、恋人の悩みをただの後輩に支えてもらうなんて、変な感じだ。苦いコーヒーを飲みながら苦笑いを零した。
「そういえば、浪速大の学祭、どうだった? 幼馴染が来てたんでしょ?」
「あー、ああ、まあ、そうですね」松隆の反応は妙に鈍かったけれど、どうしたのか問いただす前に「楽しかったは楽しかったですよ。でも、夏休みに帰省したときにその幼馴染には会ってるんで、そんなに久しぶりってほどじゃなかったですし……」
「本当に仲良いな、幼馴染」
「ええ、まあ、長い付き合いですし」
やっぱり、松隆が失恋したというのはその幼馴染のことだろうか。松隆の性格からして、失恋しても友達として仲良くし続けることはできそうな気がした。
「あ、あと学祭で烏間先輩に会いました」
「え、烏間先輩?」
「彼女さんと一緒に来てたみたいですよ」
「えー、いいな、見たかったなー」
仲が良いともっぱらの評判の烏間先輩とその彼女。3年も付き合っているというのだから、ぜひともコツをお聞きしたいものだ。
「先輩の彼女、どんな人だった?」
「いや、彼女さんには会ってないです」
「あー、なんだ、そうなの……」
「なんでですか?」
「……烏間先輩の彼女は、烏間先輩が他大でも不安になったりしないんだって」
よく意味が分からん、と眉を顰められた。
「ほら、烏間先輩ってあの顔じゃん。どっからどう見てもモテるじゃん。それが他大の、しかもテニサーなんてものに入ってるんだよ。めちゃくちゃ不安になって束縛しそうじゃない?」
「……まあ、言いたいことは分からなくはないですが」
「でも全然嫉妬とかはされないんだって。しかも、嫉妬しないタイプってわけじゃなくて、お互いに信頼してるから嫉妬しないんだと思うとかなんとか」
「烏間先輩のいないところで烏間先輩の惚気話を聞かされるとは思ってませんでした」
「……だから、私は紘への信頼感が足りないのかなと思って」
頬杖をついて、拗ねたような体勢になる。夏以来、私は松隆の前で先輩ぶることを忘れている。
世間一般論でいえば、支えてくれる人といえば恋人なのに、恋人の悩みをただの後輩に支えてもらうなんて、変な感じだ。苦いコーヒーを飲みながら苦笑いを零した。
「そういえば、浪速大の学祭、どうだった? 幼馴染が来てたんでしょ?」
「あー、ああ、まあ、そうですね」松隆の反応は妙に鈍かったけれど、どうしたのか問いただす前に「楽しかったは楽しかったですよ。でも、夏休みに帰省したときにその幼馴染には会ってるんで、そんなに久しぶりってほどじゃなかったですし……」
「本当に仲良いな、幼馴染」
「ええ、まあ、長い付き合いですし」
やっぱり、松隆が失恋したというのはその幼馴染のことだろうか。松隆の性格からして、失恋しても友達として仲良くし続けることはできそうな気がした。
「あ、あと学祭で烏間先輩に会いました」
「え、烏間先輩?」
「彼女さんと一緒に来てたみたいですよ」
「えー、いいな、見たかったなー」
仲が良いともっぱらの評判の烏間先輩とその彼女。3年も付き合っているというのだから、ぜひともコツをお聞きしたいものだ。
「先輩の彼女、どんな人だった?」
「いや、彼女さんには会ってないです」
「あー、なんだ、そうなの……」
「なんでですか?」
「……烏間先輩の彼女は、烏間先輩が他大でも不安になったりしないんだって」
よく意味が分からん、と眉を顰められた。
「ほら、烏間先輩ってあの顔じゃん。どっからどう見てもモテるじゃん。それが他大の、しかもテニサーなんてものに入ってるんだよ。めちゃくちゃ不安になって束縛しそうじゃない?」
「……まあ、言いたいことは分からなくはないですが」
「でも全然嫉妬とかはされないんだって。しかも、嫉妬しないタイプってわけじゃなくて、お互いに信頼してるから嫉妬しないんだと思うとかなんとか」
「烏間先輩のいないところで烏間先輩の惚気話を聞かされるとは思ってませんでした」
「……だから、私は紘への信頼感が足りないのかなと思って」
頬杖をついて、拗ねたような体勢になる。夏以来、私は松隆の前で先輩ぶることを忘れている。