白い結婚三年目。つまり離縁できるまで、あと七日ですわ旦那様。
【確かに私とフランカとの結婚時期に被せてきているし、他の呪いを受けた時もフランカの誕生日や結婚記念日、そして財務課の仕事がひと段落した頃に集中している。毎回パターンが違う上に、無差別だったので軽視していたが……これは私とフランカを引き裂くためだというのなら、点と点が繋がった】
名探偵並みの推理力でドミニク様は様々なことに思考を巡らせ、核心に迫る。
か、格好良い……。思わず演算能力も含めて知的な印象がグッときた。旦那様が有能なのは知っているけれど、有能すぎません?
「旦那様が格好良すぎる……」
ポソっと呟いたのだけれど、ドミニク様の耳に届いてしまった。
【そう考えるとフランカに縁談が来ていたアレも──んんんん? 今、フランカが私のことを褒めた??? 幻聴か?】
ドミニク様はチラリと私に視線を向ける。その眼差しは期待に胸を膨らませているのが、手に取るようにわかった。そしてメチャクチャ尻尾を振っている!
「フランカ、今なんと?」
「(黙秘権を使いたいけど……使ったら最後、落ち込むのまでバッチリ想像できちゃう。そうさせたくはないわ)……思案しているドミニク様が……その……とっても素敵だなって」
「──っ!?」
う、うわあ。恥っ! 面と向かって言うのって勇気がいるわ。
そろそろドミニク様の心の声が聞こえると身構えていたが静かだ。顔を覗き込むと顔を真っ赤にして固まっているドミニク様が──というか気絶していた。色んなことがありすぎて心の許容量が壊れてしまったのかもしれない。
ロータスを呼ぼうとテーブルのベルを鳴らそうとしたが、ドミニク様がしっかりと抱きかかえているので手を伸ばしても届かないし、抜け出せなかった。
「ロータス!! へーループー! ……ダメね。空気を読んでいるのか誰も来ない。……私ではドミニク様を運ぶのは難しいし……せめて小竜なら」
ハッと閃いた。小竜なら持ち運びもできるし、また合法的にハグができる!
これは緊急事態。これもドミニク様のため!
気絶しているドミニク様が小竜になるまでキスやハグ、愛の言葉を繰り返して、なんとか屋敷に戻ったのだった。
我ながらかなり積極的な対応だったが、その時はこれが最適解だと思っていた。この時のことをドミニク様が覚えていると知ったのは、翌日の夜になってからだった。