白い結婚三年目。つまり離縁できるまで、あと七日ですわ旦那様。

離縁できるまで、あと五日ですわ旦那様。

 結局昨日は離縁の話が遅々として進まなかったが、まずは呪いを解くことを優先することで意見が一致。

 昨日の疲れもあって今日は昼過ぎまで眠ってしまい、朝というか昼ご飯を取ることに。小竜に抱きついての添い寝は最高だったのだから、しょうがないわ。うん。

 ドミニク様は就寝まで小竜の姿だったが、終始上機嫌だった。呪いを解く名目もあり、私が常に傍にいるのが嬉しいらしい。
 微笑ましい……微笑ましいのだけれど……。
 離縁問題は保留となっているだけで、私はまだ離縁を諦めてはいない。その肝心な話をしたいのだけれど……。
 ドミニク様が話題にしない! 気付いていない──あるいは誤魔化そうとしているのかしら? それとも仲睦まじい夫婦として絆が深まったと認識している?
 私は場の雰囲気に流されることもあるけれど、なし崩しや白黒ハッキリしないのは好きではない。だから自分なりに決着をつけようと意気込むのだが、人の姿に戻ったドミニク様はというと──。

「フランカがすごく可愛かった」
「起きていらしたなら、言ってくだされば良いのに!」
「フランカが自分からキスをするのに、どうして止めようと思うのか」
「あれは……緊急事態だったからで……」
「じゃあ、他の男にも同じようなことをするのか?」
「そんな……ことは」

 途端に不機嫌になるドミニク様が若干面倒くさくなってきたが、「しません!」と答えて顔を逸らした。ドミニク様は満足したっぽいが、私を腕の中から離さない。今は食事中なので席を別々に座るべきなのに、膝の上に乗せてマナー違反だわ。

「ドミニク様。もうすぐ前菜が運ばれてきますから、席に着かせてください」
「本来の姿で食事に着けるのだから、このままで問題ない。竜人の習性で夫婦は料理を分かち合い、食べさせあう。だから自然と距離も近くなる必要があるのだ」
「しゅ……習性……ですか」

 そう言われてしまったら、そうなのかも? と納得してしまいそうなのは、竜人の習性について全くの無知だからだ。そのことを正直に告げるとドミニク様は嬉しそうに「私が手取り足取り教えるから何も問題ない」と耳元で囁く。
 し、心臓に悪い。なんて甘い声で言うの!?

 ドミニク様の鉄面皮は健在なため無愛想だが、尻尾の揺れ具合で感情の揺れを判別している。先ほどから尻尾がブンブンと揺れているので、上機嫌だわ。
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