白い結婚三年目。つまり離縁できるまで、あと七日ですわ旦那様。
旦那様の視点2
「旦那様」
「ロータスか。首尾は?」
「問題ありません。今回の件に関わった闇ギルド及び暗殺者は全て処理済みです」
「そうか。……これでフランカを付け狙う者も一掃できたら良いのだが」
「本当の夫婦になった以上、旦那様の弱点となるのは奥様ですからね。より一層、護衛を厚くしておくべきでしょう」
「ああ。……フランカに会いたい」
「これでまた奥様への秘密が増えてしまいましたか。どうなさいますか?」
我が国一の元暗殺者は痛い所を突いてくる。以前は秘密が増えるたび、嫌われないか懊悩したが今は少し違う。
「この秘密だけはフランカを守るためにも隠し通す──と昔なら言っていたのだろうけれど、すでにフランカには話してある。それでも傍に居てくれると言ってくれた……。言ってくれたんだ」
「旦那様」
「ああ、早く妻に会いたい……」
思い出したら無性に会いたくなった。早く家に帰って「お帰りなさい」と言って欲しい。それから抱きしめて温もりを実感して、可愛い声が聞きたい。月明かりのように朗らかな笑みも見たい。妻から送って貰ったガラス細工の懐中時計を取り出して、時間を確認する。
今から急いで戻れば、一度屋敷には寄れるだろうか。
「それでは後処理も終わりましたので、帰還しましょう。本日は旦那様のためにミルフィーユをお作りになると話しておりましたよ」
「それは早く戻らなければな」
「ですが……あの青い宝石魔導具を国王陛下に返却しなくてはならないのでは?」
「あー、そうだったな。……というかそれを独断で借りてきたのはロータスお前だろう。お前が返しに……」
「旦那様の名代として国王陛下に頼みましたので、返却は旦那様からのほうが良いかと」
「うっ……。だが」
「早く行って返してしまいましょう」
こういう時のロータスに何を言っても駄目なので、早々に大国へと戻る。一刻も早くフランカに会いたかったし、スイーツも食べたかった……。
***
青い宝石のブレスレットを国王陛下に返すため、渋々と執務室に向かうことになった。あまりにも凹んでいたからか、ロータス経由でフランカが財務課に差し入れを持ってきてくれるよう手配したそうだ。なんとできた執事なのだろう。
ロータスには後日、賞与を弾まなければな。
そんなホクホク具合で執務室に入ったが、王太子のアルフレートもいた。
「ほんとうぉーーーーーーーーーうに、すまなかった」
「アルフレート殿下が頭を下げる必要は大いにあるものの、王家の神具を貸して頂いたので貸し借りはなし」
「ドミニク!」
「──にはしないので、三日間の訓練で手を打とう」
「うわあ……。本気で怒っているな」
「当たり前だ。下手すればフランカを失うかもしれなかったのだから」
「それこそ真実の愛を確かめるための、ちょっとしたスパイスじゃないか」
「訓練は五日に変更しよう」
「えええ? 愛の試練があってこそ真実の愛が分かるものだと思うのだが」
「殿下がそのような主義主張をもっているのは構わないが、私を巻き込むな」
「嫌だね」
「国王陛下。大変申し訳ないのですが、ご子息を殴ってもいいでしょうか」
「あー、うん。気持ちは分かるけれどパーティーが近々あるから終わったらね」
「ロータスか。首尾は?」
「問題ありません。今回の件に関わった闇ギルド及び暗殺者は全て処理済みです」
「そうか。……これでフランカを付け狙う者も一掃できたら良いのだが」
「本当の夫婦になった以上、旦那様の弱点となるのは奥様ですからね。より一層、護衛を厚くしておくべきでしょう」
「ああ。……フランカに会いたい」
「これでまた奥様への秘密が増えてしまいましたか。どうなさいますか?」
我が国一の元暗殺者は痛い所を突いてくる。以前は秘密が増えるたび、嫌われないか懊悩したが今は少し違う。
「この秘密だけはフランカを守るためにも隠し通す──と昔なら言っていたのだろうけれど、すでにフランカには話してある。それでも傍に居てくれると言ってくれた……。言ってくれたんだ」
「旦那様」
「ああ、早く妻に会いたい……」
思い出したら無性に会いたくなった。早く家に帰って「お帰りなさい」と言って欲しい。それから抱きしめて温もりを実感して、可愛い声が聞きたい。月明かりのように朗らかな笑みも見たい。妻から送って貰ったガラス細工の懐中時計を取り出して、時間を確認する。
今から急いで戻れば、一度屋敷には寄れるだろうか。
「それでは後処理も終わりましたので、帰還しましょう。本日は旦那様のためにミルフィーユをお作りになると話しておりましたよ」
「それは早く戻らなければな」
「ですが……あの青い宝石魔導具を国王陛下に返却しなくてはならないのでは?」
「あー、そうだったな。……というかそれを独断で借りてきたのはロータスお前だろう。お前が返しに……」
「旦那様の名代として国王陛下に頼みましたので、返却は旦那様からのほうが良いかと」
「うっ……。だが」
「早く行って返してしまいましょう」
こういう時のロータスに何を言っても駄目なので、早々に大国へと戻る。一刻も早くフランカに会いたかったし、スイーツも食べたかった……。
***
青い宝石のブレスレットを国王陛下に返すため、渋々と執務室に向かうことになった。あまりにも凹んでいたからか、ロータス経由でフランカが財務課に差し入れを持ってきてくれるよう手配したそうだ。なんとできた執事なのだろう。
ロータスには後日、賞与を弾まなければな。
そんなホクホク具合で執務室に入ったが、王太子のアルフレートもいた。
「ほんとうぉーーーーーーーーーうに、すまなかった」
「アルフレート殿下が頭を下げる必要は大いにあるものの、王家の神具を貸して頂いたので貸し借りはなし」
「ドミニク!」
「──にはしないので、三日間の訓練で手を打とう」
「うわあ……。本気で怒っているな」
「当たり前だ。下手すればフランカを失うかもしれなかったのだから」
「それこそ真実の愛を確かめるための、ちょっとしたスパイスじゃないか」
「訓練は五日に変更しよう」
「えええ? 愛の試練があってこそ真実の愛が分かるものだと思うのだが」
「殿下がそのような主義主張をもっているのは構わないが、私を巻き込むな」
「嫌だね」
「国王陛下。大変申し訳ないのですが、ご子息を殴ってもいいでしょうか」
「あー、うん。気持ちは分かるけれどパーティーが近々あるから終わったらね」