白い結婚三年目。つまり離縁できるまで、あと七日ですわ旦那様。
なんだかどっと疲れた。やっぱり癒しがないとストレスが溜まるようだ。とにもかくにも招待状の件は屋敷に戻って確認しよう。そしてフランカの顔がみたい。ああ、フランカ。フランカ……。フランカ要素が足りない。
「アッシュは帝国に亡命したまま行方不明──ということにしておく。また第三王子に成りすました偽物は、王家で対処する」
「承知しました。表向きはそのようにお願いします」
陛下の決定に皆頷いた。
アッシュは妻を散々苦しめたのだ、もっと重く苦しませても良かったが、その時間も惜しいと感じてさっさと始末してしまった。後処理も帝国との密約を結ぶ形で収束に向かうだろう。これで完全に闇に葬られることになる。
王家との貸し借りも、これで帳消しとなるのであれば悪くない。話も終わるとここに用はないので、立ち上がった。
ちょうどお茶の準備が終わった侍女が部屋に入ってきたが、構わずに退席する。
「せめてお茶ぐらい飲んでいってくれないか?」
「ありがとうございます。しかし、もうすぐ妻が財務課を訪ねるとのことでしたので、失礼させていただきます」
「ああ、なるほど」
「それじゃあ、私もフランカ夫人に顔合わせを」
「今度で」
「酷いなぁ」
最後までアルフレート殿下が煩かったが無視して退室した。今日ほど財務課に向かうのが楽しみだったことはないだろう。
──が、この時アルフレート殿下が引き下がったことを、あまり気に留めていたなかった。それに勘づいたら、腹部ぐらい殴っていたというのに、残念だ。