極道に過ぎた、LOVE STORY
ぶつかった相手の持っていたソフトクリームが、見事、私の白いカーデガンにベッタリとついてしまっていた。
「悪い!」
黒のパーカーに、ジーンズ姿の背の高い男子学生が、焦ってアタフタしている。
「ああー」
と、声をあげてしまったが、仕方ない。軽く拭いてカーデガンを脱ぐしかない。
「これ持ってて」
その学生は、私に食べかけのソフトクリームを差し出した。
「ええっ」
差し出されたから、手に取ってしまった。彼は、自分の背負ってい鞄からタオルを取り出すと、ソフトクリームの着いたカーデガンの袖を拭き始めた。
「いいですよ」
私は、カーデガンをひっぱたのだが。
「溶けちゃう、早く食べて!」
「ええっ!?」
手に持たされていた、ソフトクリームが溶け始めていた。咄嗟に口に入れてしまった。
「さっとしか落とせなかった、クリーニン代払わせて」
「大丈夫。家で洗うから」
私は、そう言って彼に、ソフトクリームを返した。口の中に、冷たい甘さが広がった。
「このソフト美味いでじょ? 近くのラーメン屋のなんだけどね」
彼は、そう言って、ペロリと私の舐めた後のソフトクリームを口に入れた。何だか、妙な気分だった。
彼は、満足気にニコリと笑う。その顔は、男性にあまり興味のない私でさえ、整った顔だと認めたくなるような笑みだった。
「そうね……」
確かに美味しい。正直、もう少し食べたいと思ってしまった。
だけど、私は、そのまま向きを変えると、講義の始まる教室へと歩き出した。けしてカッコつけているわけじゃない。本当に、急がないと間に合わないだけだ。
「お、おい、名前は? クリーニング代!」
「結構よ」
当然、クリーニン代なんて欲しいと思っていない。カーデガンの汚れなど大した事ではない。
翌日、いつも通り講義の席に座る。もちろん、私の隣に座る学生などいないと、思っていたのだが、隣に座る影に手元が暗くなった。
隣に座るなんて珍しい、私の事を知らない学生がまだいたんだ。
「同じ講義だったんだ。よかった見つけられて」
隣の影から声がしたので、タブレットに向けていた目を上げた。
「悪い!」
黒のパーカーに、ジーンズ姿の背の高い男子学生が、焦ってアタフタしている。
「ああー」
と、声をあげてしまったが、仕方ない。軽く拭いてカーデガンを脱ぐしかない。
「これ持ってて」
その学生は、私に食べかけのソフトクリームを差し出した。
「ええっ」
差し出されたから、手に取ってしまった。彼は、自分の背負ってい鞄からタオルを取り出すと、ソフトクリームの着いたカーデガンの袖を拭き始めた。
「いいですよ」
私は、カーデガンをひっぱたのだが。
「溶けちゃう、早く食べて!」
「ええっ!?」
手に持たされていた、ソフトクリームが溶け始めていた。咄嗟に口に入れてしまった。
「さっとしか落とせなかった、クリーニン代払わせて」
「大丈夫。家で洗うから」
私は、そう言って彼に、ソフトクリームを返した。口の中に、冷たい甘さが広がった。
「このソフト美味いでじょ? 近くのラーメン屋のなんだけどね」
彼は、そう言って、ペロリと私の舐めた後のソフトクリームを口に入れた。何だか、妙な気分だった。
彼は、満足気にニコリと笑う。その顔は、男性にあまり興味のない私でさえ、整った顔だと認めたくなるような笑みだった。
「そうね……」
確かに美味しい。正直、もう少し食べたいと思ってしまった。
だけど、私は、そのまま向きを変えると、講義の始まる教室へと歩き出した。けしてカッコつけているわけじゃない。本当に、急がないと間に合わないだけだ。
「お、おい、名前は? クリーニング代!」
「結構よ」
当然、クリーニン代なんて欲しいと思っていない。カーデガンの汚れなど大した事ではない。
翌日、いつも通り講義の席に座る。もちろん、私の隣に座る学生などいないと、思っていたのだが、隣に座る影に手元が暗くなった。
隣に座るなんて珍しい、私の事を知らない学生がまだいたんだ。
「同じ講義だったんだ。よかった見つけられて」
隣の影から声がしたので、タブレットに向けていた目を上げた。