極道に過ぎた、LOVE STORY
図書館を出た時には、外がすっかり暗くなっていた。また、羽柴が心配しているだろう。
「なあ。この後、予定ある? 一緒に飯どう?」
私の横に並んで歩く康が、さらりと言った。
「バカなの?」
それだけ言えばわかるだろう。私は、大学の門をくぐると、そのままいつもの黒い車に向かって早足で歩いた。
「じゃあ、今度、飯行こう」
「行かない」
そう言って、車に乗り込んだ。
「お嬢、お友達ですか?」
「そんなんじゃない」
「ですが……」
羽柴が、窓の外へ向けた。
そこには 康が手を振って見送っている姿があった。
あいつは、本当にバカなのか? ヤクザの車を手を振って見送る奴など見たことない。助手席のトモが気づかないかったのが救いだ。舐めやがってと、一発殴ってただろうと想像すると、思わずため息が漏れた。
どんなに冷たくあしらっても、時には鋭い視線を向けても、康は、全く気にせず声をかけてくる。その上、研究室まで同じだなんて。
別に、康を嫌っているわけではない。私といる事で、康までもが白い目で見られるのだ。
「なあ、あれ、轟川組の娘だろ? 最近、康のやつ一緒にいる事あるよな? あいつヤクザの娘と一緒にいて大丈夫なのか?」
ほらやっぱり、予想していた通りだ。フリースペースで勉強していると、そんな声が耳に入ってくる。
「康の奴、単位やばいんじゃねえ? 轟川の娘さ、成績ずば抜けでいいじゃん。一緒にやりゃなんとかなると思ってんだろ? あの、イケメン顔なら、ヤクザの娘だって、落とせるんじゃねえの?」
「そっか。メリットもあるかもだな。しかし、命張って単位取るなんて俺には出来ないな」
そうだよね。康にとって、何かとメリットはあるのだろう。そうでなければ、近づくはずがない。でも、いくらイケメンでも私が落ちる事はないけど。
「ここに居たんだ」
当たり前のように、康が隣に座った。
また、手にはソフトクリームを持って、美味しそうに頬張っている。
私の成績が良い事は確かだ。だけど、康もかなり出来るんじゃないだろうか?
「ねえ。なぜ、隣に座るの?」
「別に、空いてるんだからいいだろ? これ、食う?」
「いらないわよ。正直に聞くけど、あなたは私と一緒にいて、怖いとか思わないの?」
「まあ、確かに美人だけど、怒った時の顔は怖いよな」
「失礼ね。そうじゃなくて…… 私がヤクザの娘だって事よ。皆、怖がって私には必要以上には近付かない。それは、仕方ない事だし、その方がいいと思っている。だから、正直、あなたの行動は迷惑なの」
「ふ〜ん。単位がヤバくて、幸ちゃんの力を借りたいとか言えば満足? そんな事、言ってる奴らいるみたいだしな」
康はそう言って、さっきの学生をジロリと睨んだ。
ああー。これじゃ逆効果だよ。
「違うみたいね。じゃあ、本当の目的は何?」
「目的なんてないよ。綺麗な子だなと思っただけ。怖くないのか?とか、皆んな聞いてくるけどさ、ここ大学の中だぜ。あんたも俺もただの学生だろ?」
確かに、大学の中には羽柴ですら入っては来ない。
「でも、外に出たら、そうはいかない」
「かもな。確かに、外に出たら怖いと思う事もあるかもな? でも、ここは大学の中なんだからいいじゃん」
はあー
私は、大きなため息をついた。
康には、何を言っても通じない。だけど、今、轟川組の噂はあまり良くない。私の側にいるというだけでトラブルに巻き込まれる可能性がないわけじゃない。
大学の中だけの最低限のかかわりに出来たらと思っていたのだが……
「なあ。この後、予定ある? 一緒に飯どう?」
私の横に並んで歩く康が、さらりと言った。
「バカなの?」
それだけ言えばわかるだろう。私は、大学の門をくぐると、そのままいつもの黒い車に向かって早足で歩いた。
「じゃあ、今度、飯行こう」
「行かない」
そう言って、車に乗り込んだ。
「お嬢、お友達ですか?」
「そんなんじゃない」
「ですが……」
羽柴が、窓の外へ向けた。
そこには 康が手を振って見送っている姿があった。
あいつは、本当にバカなのか? ヤクザの車を手を振って見送る奴など見たことない。助手席のトモが気づかないかったのが救いだ。舐めやがってと、一発殴ってただろうと想像すると、思わずため息が漏れた。
どんなに冷たくあしらっても、時には鋭い視線を向けても、康は、全く気にせず声をかけてくる。その上、研究室まで同じだなんて。
別に、康を嫌っているわけではない。私といる事で、康までもが白い目で見られるのだ。
「なあ、あれ、轟川組の娘だろ? 最近、康のやつ一緒にいる事あるよな? あいつヤクザの娘と一緒にいて大丈夫なのか?」
ほらやっぱり、予想していた通りだ。フリースペースで勉強していると、そんな声が耳に入ってくる。
「康の奴、単位やばいんじゃねえ? 轟川の娘さ、成績ずば抜けでいいじゃん。一緒にやりゃなんとかなると思ってんだろ? あの、イケメン顔なら、ヤクザの娘だって、落とせるんじゃねえの?」
「そっか。メリットもあるかもだな。しかし、命張って単位取るなんて俺には出来ないな」
そうだよね。康にとって、何かとメリットはあるのだろう。そうでなければ、近づくはずがない。でも、いくらイケメンでも私が落ちる事はないけど。
「ここに居たんだ」
当たり前のように、康が隣に座った。
また、手にはソフトクリームを持って、美味しそうに頬張っている。
私の成績が良い事は確かだ。だけど、康もかなり出来るんじゃないだろうか?
「ねえ。なぜ、隣に座るの?」
「別に、空いてるんだからいいだろ? これ、食う?」
「いらないわよ。正直に聞くけど、あなたは私と一緒にいて、怖いとか思わないの?」
「まあ、確かに美人だけど、怒った時の顔は怖いよな」
「失礼ね。そうじゃなくて…… 私がヤクザの娘だって事よ。皆、怖がって私には必要以上には近付かない。それは、仕方ない事だし、その方がいいと思っている。だから、正直、あなたの行動は迷惑なの」
「ふ〜ん。単位がヤバくて、幸ちゃんの力を借りたいとか言えば満足? そんな事、言ってる奴らいるみたいだしな」
康はそう言って、さっきの学生をジロリと睨んだ。
ああー。これじゃ逆効果だよ。
「違うみたいね。じゃあ、本当の目的は何?」
「目的なんてないよ。綺麗な子だなと思っただけ。怖くないのか?とか、皆んな聞いてくるけどさ、ここ大学の中だぜ。あんたも俺もただの学生だろ?」
確かに、大学の中には羽柴ですら入っては来ない。
「でも、外に出たら、そうはいかない」
「かもな。確かに、外に出たら怖いと思う事もあるかもな? でも、ここは大学の中なんだからいいじゃん」
はあー
私は、大きなため息をついた。
康には、何を言っても通じない。だけど、今、轟川組の噂はあまり良くない。私の側にいるというだけでトラブルに巻き込まれる可能性がないわけじゃない。
大学の中だけの最低限のかかわりに出来たらと思っていたのだが……