極道に過ぎた、LOVE STORY
 休日は、ほとんどの時間を、家で勉強して過ごしてるが、この前の一件以来、組の男達を相手に稽古する時間も増やしている。

 「お嬢…… す、少し休ませて下さい」

 男達が、私の周りをぐるりと囲うように倒れている。

 「あんたた達、こんな事でどうする! 口だけで脅す事ばかりしようとしてるからじゃないのか!」

 「お、お嬢が強すぎるんです」

 「アホか? 轟川がこんな程度かと舐められるんだぞ。これからは、毎朝走るよ!」

 「ひえー」

 悲鳴を上げて逃げようとする者、もう、仰向けに倒れて動けなくなっている者もいる。


 「お嬢、スマホが鳴っております」

 ともが、スマホを持って差し出した。

 「ほおっー」

 男達が、その場に座り込んだ。


 画面には、玲香の名前が光っている。休日なのに、何の用事なのだろうか?

 「もしもし」

 「幸? 今、どこにいるの?」

 「家だけど」

 「今、用事があって大学まで来たのよ。そしたら、康に偶然会ってね。気分転換に一緒に勉強しない? 今からそっち行くから」

 「はあ? こんなところ来るなよ!」

 「十五分後に着くから、じゃあね」

 スマホの通話は切れてしまった。

「お、おい!」

 全くもう、勝手なんだから。

 「稽古は、ここまでだ」

 「はあー 助かったあー もうダメだ〜」

 男達の情けない声に、イラッとする。


 「明日は、今日の倍の稽古だからな!」

 「ひえー」


 「お嬢、どうされました?」

 「客が来る、用意を頼む」

 「はっ」

 トモは頭を下げると、他の奴らに準備の指示をし始めた。
< 38 / 84 >

この作品をシェア

pagetop