極道に過ぎた、LOVE STORY
自分でも、かなり勉強に費やしたと思う。試験が終わると、しばらく文字は見たくないとさえ思った。
「無事に試験は終わったようだな。お疲れ様」
久しぶりに、パパと一緒に食事をした。
「試験が終わっただけ。問題は、結果だよ。不安だな」
「手応えはどうだった?」
「まあまあってとこ。やるだけの事はやったつもり」
「そうか、それならいいじゃないか。また、来年受ければいい」
「いやよ。私は、一日でも早く人を救える医者になりたいの。早く、医療現場に出たくてうずうずしているんだから」
パパをジロッと睨んだ。
「あはははっ。さすが幸だな。そんなに焦ることはないだろ」
「そうだけどね。パパの方は最近どう? 忙しそうだけど」
「まあな。確かに、普通の父親なら、忙しいと言えば格好もつくが、私の場合は忙しいのがいいものなのか?」
パパはふっと切なそうに笑った。
「普通ってのが何かは知らないけど、私にとってパパはパパだから。それに、世の中そんな普通の親子なんていないのかもよ。長岡親子もちょっと不思議な感じがした」
「ほー。医者の親子でも、真っ当じゃないのか?」
「真っ当だとは思うけど、医者の世界も厳しいんじゃない」
「どこの世界も厳しい世の中なんだな。うちだけじゃないと思うと、少し安心した」
パパは、楽しそうに笑った。
「で、こっちの世界は、少し騒がしいみたいだけど」
私は、お猪口を口につけるパパを見た。
「色々と噂話が広がっているようだな」
「噂はあくまでも噂。話せる範囲でいいから、状況を知りたい」
パパは、自分でお猪口にお酒を注ぐとグッと口の中に流し入れた。
「幸の祖父にあたる二代目の話になる。あの頃は、まだ、これほど轟川組も大きくなく、梅森という組織との対立が続いていた。二代目はかなり悪どい事もやっていたが、人情は熱く慕う者も多かった。結局は、轟川が勢力を伸ばし、梅森についていた組も、うちに着くようになり、梅森は組を閉じた。
だが、数年前から梅森の三代目になるはずだった奴が、スカイグループという大手企業を買収したらしい。買収といっても騙しとったような物らしいが。表向きは大きな日用品を扱う会社だから、幸も知っているな?」
「ええ」
「だが、その大手の名を使って、詐欺的な事や薬の売買を行っている。でも、まだ力が弱く、轟川への協力を求めてきた。もちろん断った。だが、すでにうちの組の若い奴が加担したらしく、話がややこしくなった。確かに轟川組は、世間じゃヤクザと言われる組織だが、殺しと薬はやらない。主に不動産と夜の店の仕切り、最近じゃ株なんかもやってる。怒鳴ったり脅したりばかりじゃ、若い奴らを食わしていけないからな」
「でも、スカイグループの悪事に轟川が絡んでしまったんでしょ?」
「そうだ。これ以上加担しないために、轟川がどれほど大きな力を持っているのか試される時がきている」
「大丈夫なの?」
「轟川を抑えるために、幸を脅そうとしたようだが、そんなに轟川が甘くない事がわかり、色々と手段を使ってきているようだ。幸も十分に気をつけるんだ」
「はい。でも、私は医者になりたい。周りの人達に迷惑をかける事にはならないだろうか?」
「私も、幸には医者になって欲しいと思っている。その為に、出来る事は何でもするつもりた」
「ありがとう、でも無茶な事はいないで」
「ああ。幸が心配するような事じゃないから心配しなくていい。こんな世界で生きてしまったら、脅されない為には、一番上に立つしかないんだ。誰もが恐れる位置に付けばいい」
でも、何がと言われれば分からないが、なんだか胸騒ぎがしてならなかった。
「無事に試験は終わったようだな。お疲れ様」
久しぶりに、パパと一緒に食事をした。
「試験が終わっただけ。問題は、結果だよ。不安だな」
「手応えはどうだった?」
「まあまあってとこ。やるだけの事はやったつもり」
「そうか、それならいいじゃないか。また、来年受ければいい」
「いやよ。私は、一日でも早く人を救える医者になりたいの。早く、医療現場に出たくてうずうずしているんだから」
パパをジロッと睨んだ。
「あはははっ。さすが幸だな。そんなに焦ることはないだろ」
「そうだけどね。パパの方は最近どう? 忙しそうだけど」
「まあな。確かに、普通の父親なら、忙しいと言えば格好もつくが、私の場合は忙しいのがいいものなのか?」
パパはふっと切なそうに笑った。
「普通ってのが何かは知らないけど、私にとってパパはパパだから。それに、世の中そんな普通の親子なんていないのかもよ。長岡親子もちょっと不思議な感じがした」
「ほー。医者の親子でも、真っ当じゃないのか?」
「真っ当だとは思うけど、医者の世界も厳しいんじゃない」
「どこの世界も厳しい世の中なんだな。うちだけじゃないと思うと、少し安心した」
パパは、楽しそうに笑った。
「で、こっちの世界は、少し騒がしいみたいだけど」
私は、お猪口を口につけるパパを見た。
「色々と噂話が広がっているようだな」
「噂はあくまでも噂。話せる範囲でいいから、状況を知りたい」
パパは、自分でお猪口にお酒を注ぐとグッと口の中に流し入れた。
「幸の祖父にあたる二代目の話になる。あの頃は、まだ、これほど轟川組も大きくなく、梅森という組織との対立が続いていた。二代目はかなり悪どい事もやっていたが、人情は熱く慕う者も多かった。結局は、轟川が勢力を伸ばし、梅森についていた組も、うちに着くようになり、梅森は組を閉じた。
だが、数年前から梅森の三代目になるはずだった奴が、スカイグループという大手企業を買収したらしい。買収といっても騙しとったような物らしいが。表向きは大きな日用品を扱う会社だから、幸も知っているな?」
「ええ」
「だが、その大手の名を使って、詐欺的な事や薬の売買を行っている。でも、まだ力が弱く、轟川への協力を求めてきた。もちろん断った。だが、すでにうちの組の若い奴が加担したらしく、話がややこしくなった。確かに轟川組は、世間じゃヤクザと言われる組織だが、殺しと薬はやらない。主に不動産と夜の店の仕切り、最近じゃ株なんかもやってる。怒鳴ったり脅したりばかりじゃ、若い奴らを食わしていけないからな」
「でも、スカイグループの悪事に轟川が絡んでしまったんでしょ?」
「そうだ。これ以上加担しないために、轟川がどれほど大きな力を持っているのか試される時がきている」
「大丈夫なの?」
「轟川を抑えるために、幸を脅そうとしたようだが、そんなに轟川が甘くない事がわかり、色々と手段を使ってきているようだ。幸も十分に気をつけるんだ」
「はい。でも、私は医者になりたい。周りの人達に迷惑をかける事にはならないだろうか?」
「私も、幸には医者になって欲しいと思っている。その為に、出来る事は何でもするつもりた」
「ありがとう、でも無茶な事はいないで」
「ああ。幸が心配するような事じゃないから心配しなくていい。こんな世界で生きてしまったら、脅されない為には、一番上に立つしかないんだ。誰もが恐れる位置に付けばいい」
でも、何がと言われれば分からないが、なんだか胸騒ぎがしてならなかった。