極道に過ぎた、LOVE STORY
 あれから三年……

 ロサンゼルスからの飛行機を降り、到着ロビーに向かいながらスマホの電源を入れる。二年ぶりの日本の懐かしい空気を感じた。

 スマホの画面には、幾つもの着信歴がある。全て花岸病院からだ。

 長岡病院で研修医を終えた後、二年間のアメリカ留学を決めた。戻ってきた日本で、花岸病院での就職が決まっていたが、一週間ほど先の話だったはず。

 とりあえず、花岸病院の名をスライドした。

 「花岸病院です」

 「何度かお電話頂いている、轟川ですが」

 「あっ。幸先生?」

 もしかして、この声……


 「そうだけど、あれ? 矢澤さん?」

 「今どこですか?」

 「成田に着いたところだけど?」

 「急いで来て頂けませんか? 近くで大きな爆破事故があって、医者が足りません」

 「分かったすぐ行く」

 電話を切って、到着ロビーを走って抜けると、懐かしい羽柴の顔があった。


 「お嬢、おかえりなさいませ」

 「羽柴、すまない。花岸病院に向かってくれ!」

 「わかりました」

 羽柴は、私の様子で大体の事を察したのだろう。

 私からスーツケースを引き取ると、走り出した。私もその後を追う。


 車の前には、運転手ともう一人の男が待っていた。

 車に乗り込むとすぐに、羽柴がタブレットを広げた。

 「これですか?」

 画面には、爆破事故のニュースが流れている。

 「それだ。うちの島か?」

 「近いですが、違います。組の者も巻き込まれた情報は入っていません。花岸病院に多くの怪我人が運ばれているようで、先ほど組の者から連絡が入ってます」

 「分かった。急いでくれ」


< 76 / 84 >

この作品をシェア

pagetop