私が聖女でヒロインです!?いいえ、私はモブZ希望します!
私は陰キャモブ私は陰キャモブ私は陰キャモブ···。

胸に手を当て数回深呼吸。

大丈夫大丈夫、私の事なんてだ〜れも見てない。

と、1歩足を踏み入れた。

リンゴーン!リンゴーン!リンゴーン!!!

「ひっ!!」

私が門を潜ると同時に、校舎に備え付けられていた鐘の音が辺りに響わたり、白いハトがいっせいに飛び交った。

私も驚いてビクリと肩を震わせた。

周りの生徒達も何事かといっせいに足を止めている。

何で、何でこんな大事な事を忘れていたのだろうか。

あの鐘の音は、聖女がこの門を潜ると鳴る仕組みになっている事を。

ちなみに、今この瞬間に私と門を入った生徒はざっと10名程。

よし、私は陰キャモブ!聖女?いやいや私はただの町娘、いざゆかん学びの園。

知らぬ存ぜぬで私は足を踏み出した。

これは逃げるが勝ち、めんどくさい揉め事に巻き込まれるのはごめんです。

すたこらさー、と足早に歩く。

周りの生徒達も「間違い?」「入学式だからかな?」とクスクスと笑みを浮かべ歩いている。

だよね?
そう思うよね?

私は道に迷った振りをして、道脇にある木の中へと身を隠した。

だってこの後、生徒会室から殿下達が出てきて「君が聖女か?」なんて確認されるんだもの。

関わらないと決めたのだから、私は関わらない。

私は将来的には、パンを焼いてのんびりまったりなスローライフを送るのだから!
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