エリート商社マンはわたしの王子様~見てるだけで幸せだった推しの恋愛対象がわたしってどういうことですか?~
「由莉愛、か?」

驚いている。

そりゃ、そうだろう。

「翔子…じゃないよな」

そう言われると思った。

「由莉愛よ。今日はお話があって、お父さんを呼びました」

しっかり言わなきゃ。
何度も反芻して練習したのだから。

ふぅー。
心の中で深呼吸する。

「わたし、就職します。お父さんの研究室は継げません」

言った。

最初に言わなきゃ言えないと思って、それで言えてよかった。

肩の荷が降りた。

と思ったのだが…
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