エリート商社マンはわたしの王子様~見てるだけで幸せだった推しの恋愛対象がわたしってどういうことですか?~
桐生さんが睨んでいる。
よく知ってる女性の形相がそこにあった。
昔だったら怯んで怖気付いて…

けれど今はもう。

わたしは崎本さんの顔を思い出して心の中でグッと拳を握りしめた。

「マドンナなんて思っていません。わたしは自分のやりたいことをやるために勇気を出しただけです」

「はぁ?男侍らせて嬉しそうじゃん。今までおとなしそうにしてたくせにさ。笑わせる」

「わかっていただけないのは悲しいですが、わたしはわたしのやることをやるだけですから。失礼します」

そういうと部屋を出た。

今までみたいに逃げない。
わたしはキチンとわたしのやりたいことに向かっていくだけだ。

それが正しいことだと…思う。

部屋を出てから再度背筋を伸ばし堂々とわたしは歩き続けた。
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