エリート商社マンはわたしの王子様~見てるだけで幸せだった推しの恋愛対象がわたしってどういうことですか?~
チラッと崎本さんの方を見て信じられないような顔をした。

崎本さんが振り向いてペコリと頭を下げている。

「どうも」

桐生さんも頭を下げた。

「どうも」

「由莉愛。そろそろ行こうか。この後まだフライパン買わなきゃだろ?」

ふ、フライパン?
そんな予定あったっけ?

「え。ああ。はい」

とりあえず返事するとサッサとテーブルの上を片付けた。

「どうぞ。ここ空くから使ってください」

崎本さんが立ち上がる。

わたしも立ち上がるとその場を後にした。

「おいで。人多いし。手ちょうだい」

長い指には今もまだ慣れない。

「大学の知り合い?」

「あ、はい。同じ研究室の」

「後ろに男いたよね」
< 138 / 262 >

この作品をシェア

pagetop