エリート商社マンはわたしの王子様~見てるだけで幸せだった推しの恋愛対象がわたしってどういうことですか?~
「おっと。もう8時半か。そろそろ誰か来るかもしれないな。長谷川。立て。警察沙汰にされたくなかったら職員塔に来い」

「は、はい」

「桐生くん。由莉愛の服や髪を少し直すのを手伝ってやってくれ」

「は、はいっ!」

「そして、3人とも、『今日は何もなかった』いいな?」

何を推すように桐生さんを見て言ったお父さんに対して桐生さんはコクコクとうなづいた。


そのまま長谷川さんを伴ってお父さんが出ていくと、シンとした空間が訪れる。

どうしよう、、このまま、出て行こうか…

考えていたら、モゾモゾと上着を脱ぎ、ポイっとコチラに放り投げられて、わたしはビックリした。

「桐生さん?」

「それ着て」

カーデガンを重ね着していたらしく、ブラウスのボタンが外れてるのを隠すにはちょうど良かった。

「あ、ありがとう」
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