エリート商社マンはわたしの王子様~見てるだけで幸せだった推しの恋愛対象がわたしってどういうことですか?~

9.由莉愛の父

由莉愛の父親は大学教授にしてはダンディな感じの初老の男性だった。
服装もおしゃれで、年齢にしては若めなブランドを着こなしているのは女の影響かなと推測する。

長年営業をしていると観察力がすぐれてくるものなのだ。

しゃべりは苦手らしく、俺が話の主導権を握ることになる。

「情報処理の権威である佐藤教授のことは大学時代から知っていましたけれどまさかお会いできるとは。光栄です」

由莉愛を放置していた父親に父親面をされる筋合いはない。
俺は最初にくぎを刺すために、あえてお父さんとは言わなかった。

そして名刺を差し出す。
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